市村学術賞

第44回 市村学術賞 貢献賞 -03

バーストモード光増幅器の研究開発

技術研究者

独立行政法人情報通信研究機構 光ネットワーク研究所
研究マネージャー 淡路 祥成

技術研究者

同機構 同研究所
研究室長 和田 尚也

推  薦 独立行政法人情報通信研究機構

研究業績の概要

 ビット信号の波形歪みをなくすことで高速通信が可能になるのと同様に、次世代ネットワークの研究開発においてバースト光信号の波形歪みを抑圧することで、時間波形や波長数がバースト的、かつダイナミックに変動する超高速の光ネットワーク(光パケット/光バーストスイッチ、ダイナミック波長パスネットワーク等)の実用化を促進した。
 膨大なインターネットユーザとサービスを収容する高速大容量の光ネットワークには、光ファイバのリンク伝送容量の増加だけでなく、ネットワークノードにおけるスイッチングの容量増加が不可欠である。そこで、次世代の光ルータでは、光信号を電気信号に変換することなく、光信号のままフォワードする光パケットスイッチ等のバースト的/ダイナミック転送技術に大きな期待がかけられている。このような光ルータで用いられる光パケット/バースト信号の、長距離伝送やネットワークノード内での信号処理には、必ず光増幅器(アンプ)が必要となり、光パケット/バースト信号でも動作が可能なバーストモード光増幅器が求められていた。
 しかしながら、従来、最も普及している光増幅器であるエルビウム添加ファイバ光増幅器(EDFA)では光パケット/バースト信号に対して、大きな利得変動と著しい波形歪みが生じてしまうこと等から、技術的ボトルネックとなっていた。電気的制御や光帰還による補償法も提案されていたが、応答帯域や利得等の点で十分な性能が得られていなかった。
 受賞者らは、コロンブスの卵ともいうべき斬新なアプローチでEDFAを再設計し、世界で初めて良好な光パケット/バースト信号増幅を実現しつつ、負荷コストや消費電力増が殆ど生じないバーストモード光増幅器の開発に成功した。生じてしまった歪みを削り取って補償するのではなく、そもそも歪みの少ない増幅特性が得られるように利得ファイバを最適化することが本研究の核である。本研究の成果は、既に企業への技術移転によって商品化され、国内外に広く販売されている。また、バーストモード光増幅器をOEMとして組み込んだハイブリッド光増幅システムの開発も複数社にて行われ始めており、光通信機器市場に多大な影響を与えつつある。

図1
図2