新技術開発助成

第100回新技術開発-09

新規超小型大量培養システムの開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 アステック
代表取締役 江村 孝之
所 在 地
福岡県糟屋郡
技 術
所 有 者
株式会社 アステック
技 術
開 発 者
株式会社 アステック
取締役執行役員 森下 信二

技術開発内容

 再生医療やワクチン製造技術の発達によって、細胞培養の市場ニーズが飛躍的に高まっている。現在、さまざまな細胞培養容器が海外製品を主として使われているが、ニーズに対して十分な供給ができていない。今回の申請では再生医療・ワクチン生産に使用できる高品質の細胞を大量かつ低コストで生産・提供できるシステムの開発を目指している。
 申請技術のオリジナルな点は、Cell Cubeという新規の細胞培養容器を開発して、それを使って培養を自動化することである。Cell Cubeは、ガス交換性の高いシリコーンと、細胞培養部分のポリスチレンを組み合わせた新しい培養容器である(図1)。シリコーン部分からガス交換が行われ、完全閉鎖でも酸素が中央まで行き渡るため、閉鎖系の培養が可能である。10段のCellCube(図2:ポリスチレン両面培養)を使うことで1010個細胞という圧倒的な数の細胞培養が可能となる。閉鎖系のため、汚染リスクが低く、培養細胞スペースに光学機器の装備が可能になるため、自動化が容易になる。今回の申請では、自然換気、培地交換の自動化、小スペースの細胞培養が実現できるなど、従来の開放系の細胞培養系にない利点があり、高品質の大量培養システムの開発につながることが期待できる。
 再生医療を普及させるためには、医療目的に合う高品質な細胞を低コストで量産する製造技術の開発が重要になってきている。ワクチン生産の場合も同様に、感染流行時に大量のワクチンを迅速に生産するために簡便かつ高品質な細胞を大量に必要とされる。このような再生医療市場ニーズやワクチン市場ニーズで、国内、海外を問わず数兆円規模の大きな市場に成長することが期待される。医療と直結しており、社会性と公益性は絶大である。

図

図