新技術開発助成

第103回新技術開発-02

捕獲ろ過物の解析が容易なナノポーラスアルミナメンブレン(ろ過膜)の開発

技 術 開 発
契 約 者
智科環球株式会社
代表取締役社長 濱本 洋
所 在 地
神奈川県横浜市
技   術
所 有 者
智科環球株式会社
技   術
開 発 者
智科環球株式会社 ナノポア開発事業部
技術顧問 蓮尾 俊治

技術開発内容

 PM2.5に代表されるような空気や水に含まれる微小有害物質や医療におけるウィルス等を捕集するために、均一で微小な穴を有するろ過膜は欠かせない。ナノポーラスアルミナメンブレンは、蜂の巣のように極めて均一なナノサイズの穴径を有する高性能なろ過膜である(図1)。しかし、その製造方法は容易ではなく、安価な製造方法の開発が求められていた。
 ナノポーラスアルミナメンブレンは、アルミ板を陽極酸化する事により作製する。初期段階では穴はランダムに成長するが、陽極酸化を継続することにより穴は徐々に自己組織化し、蜂の巣状の規則正しい配列を形成する。この一次陽極酸化部分を溶解するとアルミ表面に規則正しい凹凸が残り、二次陽極酸化では最初から蜂の巣状の規則正しい穴が成長する。この二次陽極酸化の終了段階で特殊な処理をする事により、成長したポーラスアルミナはケミカルに剥離することが可能となる。さらに、陽極酸化の電圧で穴間隔を制御し、その後の化学処理で穴径を制御することが可能である。本開発では穴径を50-200nmの範囲で制御する。
 ナノポーラスアルミナメンブレンのように、穴径が均一なろ過膜は他に例がない。本開発では、さらに穴径を制御したうえ、ろ過膜にサンプルを捕集した状態のままIR分析を可能とするクリーンなろ過膜も試作する(図2)。このようなナノポーラスアルミナメンブレンが量産されると、空気中や水中に含まれる微小有害物質の検出や分析などに広く活用され、環境測定や医療をはじめ様々な研究開発に用いられ、社会に大きく貢献するものと期待される。

図

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