新技術開発助成

第103回新技術開発-07

自動車シュレッダーダストからの高機能樹脂(電磁波シールド樹脂)創生

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 サイム
代表取締役 土田 保雄
所 在 地
福岡県嘉穂郡
技 術
所 有 者
株式会社 サイム
技 術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 使用済自動車から発生する自動車シュレッダーダスト(Automobile Shredder Residue, 以下ASR)は、年間約58万トン発生しており、その内プラスチックが、約17万トン含まれている。現在そのほとんどは、原燃料として熱利用されている。一方で、自動車リサイクル法によりASR処理費用が消費者から事前に徴収されていること、自動車産業全体での地球温暖化防止に対する責務、さらに、石油由来炭素資源の有効利用からも、ASRプラスチックの高度利用、すなわち再生樹脂として再利用すること(マテリアルリサイクル)が強く求められている。
 現状のASRプラスチックは、剛性を上げるための無機物フィラーであるタルクや光劣化防止のためにカーボンブラック(以下、CB)を含有している。そのため黒色であり、これが近赤外吸収による光学式選別が出来ないなど、再生樹脂としての利用を困難にしている。また今後、自動車用プラスチックに炭素繊維の添加が見込まれるが、ASRとして排出される場合、炭素短繊維となる。炭素繊維は、その高強度の反面、リサイクルの際には取り扱いが難しく、将来のASRの再利用において炭素短繊維の有効利用技術の開発も課題である。
 本技術開発は、ラマン散乱光を利用することにより、ASRプラスチックのタルク含量等を基準に選別することにより品質の安定性を確保する。炭素繊維は、短繊維となることで、電磁波シールド機能は低下するが、ASRに含まれるCBと炭素短繊維を組み合わせることで、高レベルの電磁波シールド機能(-30dB)を有するプラスチックペレットを製造可能とする。
 この結果、ASRプラスチックのマテリアルリサイクルを実現するとともに、電磁波シールドという付加価値を高め、再生樹脂素材としては、情報・電子部品関連に広げることを可能にする技術開発である。

図