新技術開発助成

第106回新技術開発-03

通年使用可能な施設栽培用大気中 CO2濃縮・施用装置の試作開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 西部技研
代表取締役 隈 扶三郎
所 在 地
福岡県古賀市
技   術
所 有 者
株式会社 西部技研
技   術
開 発 者
株式会社 西部技研 開発部
プロジェクトマネージャー 吉田和行

技術開発内容

 イチゴなどの施設栽培にとって、収穫量や品質に重要な CO2を供給する方法として灯油などの 燃焼方式が主流な中で、本開発では大気中の CO2を直接吸着・濃縮し栽培植物に供給可能な CO2 濃縮・施用装置を提供する。温度が40°C近くなってしまう夏場は脱着側の温度と吸着側の温度の差が小さくなってCO2を吸着しにくくなるという課題の解決を、ヒートポンプ技術を組み合わせることで行い、通年使用可能な CO2濃縮・供給装置を開発する。
 CO2の供給は CO2吸着材を用いた全く新たな技術で実現。自社開発の吸着剤を担持したハニカムロータ(図1)が大気中のCO2を直接吸着・濃縮し、栽培植物にCO2を供給する。ハニカムロータは両側から吸着領域と脱着領域を分けるチャンバーで挟み込み、ロータだけを回転させる。吸着側では大気中のCO2を吸着し、脱着側では40°C程度に加熱された空気によってCO2が吸着材から脱着し、高濃度CO2を放出する仕組みである。ヒートポンプを組み合わせることで冬場だけでなく、夏場も使用できるようになることが本技術開発の新規性である(図2)。
 従来の燃焼式CO2供給装置に比べて低ランニングコストで、かつ収穫量が20%以上増加する。また、本開発の装置は大気中のCO2を直接利用するので、国内のイチゴ栽培において燃焼式で植物に吸収されずに、大気へ放出されているCO2が大幅に削減され、地球温暖化防止への寄与が期待される。

図

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