新技術開発助成

第106回新技術開発-04

マグネシウム合金切粉の処理装置開発

技 術 開 発
契 約 者
ファインテック株式会社
代表取締役 鈴木 聡
所 在 地
富山県富山市
技   術
所 有 者
ファインテック株式会社
技   術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 マグネシウム合金は軽量・高強度であることから、パソコンなどの筐体として年間約7500トンの需要があり、さらに今後自動車などへの適用が進んでいくと期待されている。それに伴って加工により発生する切屑の量も増大しており、マグネシウムが活性な金属で水分と反応して発熱、発火する危険性があることから処分にコストが嵩むことが問題となっている。
 本課題ではマグネシウム合金の切屑をメタノールと反応させた後、水を加えて水酸化物に転換するプロセスを開発する。本プロセスではマグネシウムがメタノールと反応して生成するメトキシドが溶解性であるため、反応がスムーズに進行するという特徴がある(図1)。またマグネシウムは活性であるだけに切屑になった後、大気中で酸化物、水酸化物の皮膜ができやすく、それらが不溶性であるため内部まで反応が進まないことがしばしばあり問題となっていたが、メタノール中に塩化ナトリウムを添加すると皮膜がエッチングされ、この問題を回避できることを確認している。本開発ではこれらの知見をもとに、1kgの切屑を効率的かつ安全に処理できる装置(図2)の開発を目指す。本プロセスで得られる水酸化マグネシウムは中和剤としての利用が可能であることに加え、発生する水素ガスも将来的に捕集して利用できる期待がある。
 本技術開発によりマグネシウム合金切屑を加工工場で効率よくその場処理することが可能となるため、切屑を加熱・脱水して密閉したり、オイルにまぶした上で最終処分場に輸送して処分する手間が省けることになり、安全、安価な処理技術として普及することが期待される。

図

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