新技術開発助成

第106回新技術開発-06

高周波低損失小型チョークコイル開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 エス・エッチ・ティ
代表取締役社長 吉森 俊
所 在 地
大阪府大阪市
技 術
所 有 者
株式会社 エス・エッチ・ティ
技 術
開 発 者
株式会社 エス・エッチ・ティ
取締役 今西 恒次

技術開発内容

 電力エネルギーの高効率利用のためにスイッチング電源、インバーター機器の高周波化が加 速している。チョークコイルは、これらの中で昇降圧回路、及び、高調波歪電流抑制のための力率改善回路に用いられており、特に数十kHz~百kHz程度の高周波帯域で、20~40A程度の電流に対応可能な、チョークコイルの高効率化・小型化へのニーズが顕在化している。
 技術開発者は、低損失で小型のチョークコイルを開発してきた。高周波帯域への対応においては表皮効果を考えると細線化が重要であるところ、従来は細線を撚ったリッツ線が利用されてきたが、細線を直接1本ずつ正確に繰り返し巻付けることで、空隙を生じることなく、結果、高密度な細線集合状態の巻付けが可能になること、その際に、切欠部のあるコアに、テンションを制御しつつ巻付けることによって最大限に密な巻付が可能になることを見出した。ただし半円形状等異形のダストコアは、トロイダル状コアに比べて、成形時に充分なプレス圧が掛けられないことに起因した性能低下が避けられないことから、本開発においては、ワイヤーソーを用いてトロイダル状コアを迅速・正確に切断する技術を開発する。また、細線を断面形状に合わせたテンションで高密度に高速で巻付ける装置を同時に開発する。高熱伝導樹脂を用いるインサート成形技術と組合せてコア組合せ用のツバを成形した後に、コアを2分割し、それぞれに細線巻付けを行い、その後これらを正確に組合せることで、高効率・小型チョークコイルの実用的な生産プロセスを実現できる。
 エアコン、給湯器、IHクッキングヒータ等の住設機器や、太陽光発電用パワーコンディショナ、EV充電スタンド等、本開発が狙うチョークコイルが適用される範囲は今後エネルギー高効率利用の観点から更に拡大する市場である。一方で、スイッチング電源から生じる高調波歪電流が電力配電系統へ損傷を与 える懸念があることから、対策の強化が必要で、このための力率改善回路におけるチョークコイルの高効率化は、電気機器の高付加価値化と、電力安定供給への寄与も大きい。

図