新技術開発助成

第112回新技術開発-05

極薄炭素繊維織物からなる燃料電池等の電極開発

技 術 開 発
契 約 者
ENETEK株式会社
代表取締役 木 順
所 在 地
滋賀県大津市
技   術
所 有 者
ENETEK 株式会社
技   術
開 発 者
技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 カーボンニュートラル社会の構築に向けて、自動車用をはじめとして高性能燃料電池の実現が強く求められている。そのために導電性、耐酸性、通気性に優れ、高効率発電を可能とするカーボン電極の開発が競われている。
 本技術開発の対象は、独自に開発した極薄炭素繊維織物である。この素材はアクリル紡績糸を布状に織り上げ、加熱、炭化することにより製造される革新的素材(図1)であり、薄くて導電性が高く、かつ通水性に優れているため、現行のカーボンペーパー電極と比べて特に大電流域での高速運転時に2割程度高い発電性能を示す。これに加えて、安価で耐久性に優れるなど、さまざまな利点、特徴を有していることから、大手自動車メーカー、繊維会社から注目を集めている。本技術開発では、図2のようなRoll-to-Roll装置を開発して、アクリル繊維糸を無撚りに戻すために合糸するPVA(polyvinyl alcohol)繊維を除去する湯洗工程、続けて250℃前後で加熱し耐炎化する工程を自動で連続運転できるプロセスを確立する。これにより生産能力を現状の約10倍に増強し、実用化に向けた大規模性能試験に対応することを目指す。
 ガソリン車が本開発品である炭素繊維織物を電極に用いた高性能燃料電池に置き換えられれば、CO2削減量は14.1トン-CO2/台/Lifeと試算される。2030年度の燃料電池車の国内稼働台数は22.5万台とされていることから、CO2年間総削減量は31.7万トンに及ぶこととなる。全世界ではさらに膨大な量となり、脱炭素社会実現に大きく貢献する可能性を秘めている。

図

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