新技術開発助成

第112回新技術開発-06

脱炭素社会を実現する超低鉄損軟磁性材モータコアの開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 山口製作所
代表取締役 山口 貴史
所 在 地
新潟県小千谷市
技   術
所 有 者
新潟県、株式会社 山口製作所
技   術
開 発 者
技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 世界中で使用される電力の約50%がモータの動力で消費されていると言われており、脱炭素化、省エネルギー化といった地球温暖化対策に加え、自動車の電動化や空飛ぶクルマの実用化など、産業界、社会的なニーズから、高効率モータの開発が進められている。
 モータの高効率化で大きな期待が寄せられているのが、アモルファス(非晶質)金属である。しかしながら、厚さわずか25ミクロンの箔状の材料で、硬くて脆い性質のため、放電加工、レーザー加工以外での形状加工が難しく、プレス加工によるせん断加工・積層による量産化技術が確立されていない。そこで本提案では、アモルファス金属やナノ結晶軟磁性合金(NANOMET®)といった新たな難塑性加工材料のプレス加工技術を開発し、高効率モータ用コアの量産製造技術の確立を目指す。
 本技術開発では、三つのアプローチでプレス金型の高耐久化・高機能化を図る。すなわち、①焼結ダイヤモンドなどの高硬度な金型材料の適用、②パンチとダイの接触角度にわずかな傾斜(シャー角)を付与して打抜き衝撃を緩和する形状の採用、③材料をロールtoロールで予め積層(クラッド化)して複層を同時に打抜く工法の開発、に取り組む。さらに異なる材料を組合せたハイブリッド積層コアを検討し、コスト低減・性能向上の可能性を追求する。
 本技術開発による高効率モータの低コスト・高能率な製造は、適正な価格での市場投入、普及を促進し、トランス(変圧器)コアへの適用も可能で太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電された電力を効率よく活用するための様々な電動化システムの普及にも貢献する。脱炭素化社会を実現するための「ものづくり基盤技術」として実用化が強く望まれている。

図

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