新技術開発助成

第112回新技術開発-08

面状ヒーターを内蔵した樹脂パネル材の開発

技 術 開 発
契 約 者
ART&TECH 株式会社
代表取締役 渡邊 泰
所 在 地
東京都港区
技   術
所 有 者
ART&TECH 株式会社
技   術
開 発 者
技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 自動車、暖房器具など、日常生活において電化が進んでおり、電力消費の効率化は重要な課題である。中でもEV車では、冬期、特に暖房使用時、暖房の種類、車種等により差はあるが走行距離が20%から40%低下することが確認されている。車載に限らず暖房機器の効率向上は、更なる省エネ、低価格化、利用用途の拡大など新たな価値提案につながると考える。
 本技術開発では、暖房効率、制御性およびデザイン性が高く、生産コスト低減を可能とする面状ヒーターパネルを開発・提供する。
 このヒーターパネルは、ポリプロピレン繊維強化樹脂(PP-FRP)を溶融、PETや和紙を用いた不織布に含浸させた熱可塑性樹脂のPPプリプレグからなり、ヒーター材、加飾材を一体成型することで、機能と表面加飾を同時に実現し、低コストで形状自由度の高い樹脂パネル材を提供可能とする。(図1)
 ヒーター材は名古屋大学で開発された和紙に炭素繊維を分散したシート状部材(図2)を適用し、PP-FRPで挟み込み、溶着、密封させることで、湿気や水からのバリア性を確保している。シートの温熱効果はA4換算、45Wで60°Cを実現している。また、裏面にアルミ箔と断熱材を加えることで、ヒーターパネルの輻射熱の利用効率を高め、40%の更なる省電力化を確認済みである。
 シンプルな生産工程と暖房効率から、ヒーター機能のある便座への応用を先行して進め、名古屋大学との共同研究により、安全性能や走行距離への効果を確認し、EV車への展開、次に、月面ステーションの保温断熱壁材として、新たな暖房システムを確立していく。

図

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