新技術開発助成

第112回新技術開発-10

多目的メタマテリアルセンサの開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 生体分子計測研究所
代表取締役社長 岡田 孝夫
所 在 地
茨城県つくば市
技   術
所 有 者
株式会社 生体分子計測研究所
技   術
開 発 者
株式会社 生体分子計測研究所
技術顧問 二又 政之

技術開発内容

 安全・安心な社会基盤の構築と維持の観点から、バイオセンシングをはじめとして、環境化学分析、食品分析など幅広い分野で、有害・有毒物質の迅速検出・定量分析法が必要とされている。これらには、例えば、有機フッ素化合物(PFAS)、重金属イオン、ダイオキシン、あるいは、各種残留農薬、食品添加物などの飲料水や食品に含まれる有害・有毒物質が挙げられる。従来の分析装置では物質同定と定量分析を同時に、かつ迅速に行えるものはなかった。例えば、バイオセンシングに用いられているSPR(表面プラズモン)センサは、既知物質の定量分析は可能だが、分子識別ができない。また、環境化学分析、例えば自然水の定量分析に用いられているHPLC/MS(高速液体クロマトグラフィ/質量分析)は、前処理が必要であり、分析に専門技術を要し長時間かかること、さらに大掛かりな装置が必要であり、現場分析に適用しにくい。
 本技術開発は、メタマテリアル基板と小型複合分光計からなる「多目的メタマテリアルセンサ」(図1)の開発であり、上述した「未知物質」を迅速検出・定量分析できるシステムを目指すものである。測定手法は、メタマテリアル基板を用いた表面増強ラマン(SERS)による化学種の同定と、反射/透過スペクトル測定(屈折率センシング)での定量分析を同時に行える構成からなる。加えて、SERS分析スペクトルのデータベース構築と多成分解析ソフトの開発を行うことで、非標識,前処理なしに分析試料中に何がどれだけ含まれているかについて、その場で迅速に明らかにするシステムを提供することができる。
 本技術開発期間では、メタマテリアル基板の形成条件の最適化による計測感度の安定性の向上と、小型複合分光計への波長の異なるレーザ、回折格子、光ファイバプローブ、転送光学系、溶液セルなどの部品追加による幅広い化学物質への適用性の拡大を行うことで、迅速検出・定量分析システムとしての実用性を検証する。

図