新技術開発助成

第112回新技術開発-11

長距離物資輸送ドローン用アキシャルギャップPM型モータの開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 キャップ
代表取締役 水谷 暢孝
所 在 地
静岡県周智郡
技   術
所 有 者
株式会社キャップ
技   術
開 発 者
株式会社 キャップ
取締役会長 井 三男

技術開発内容

 様々な用途に適用が進むドローンのカテゴリーの中で、長距離物資輸送ドローン(固定翼VTOL無人飛行機:図1)のニーズは高まっているが、いまだに未開拓の技術領域となっている。その技術課題において、高い離陸重量を実現するために、高い出力-重量比を実現し長時間安定して動作するモータが必要となり、長距離の運航に十分な電力供給手段も必要となる。本技術開発では、以上の背景から、HV発電機などの新しい電力供給手段の搭載を想定し、新素材・新構造を採用することによって小型軽量・高出力を実現し、長時間駆動に耐えるアキシャルギャップPM型モータ(図2(a))を開発する。
 本モータの技術開発は主として、①新素材・新設計によるステータ、②新素材によるロータ、そしてこれらを組み立てる3センターブラケットの開発から成る。まず①ステータ(図2(b))については、絶縁処理を施した磁性粉末成形品を配列し、ギャップ面積を約35%拡大するT字型の新設計を採用する。また、T字型のステータを固定する新たな構造を考案する。次に②ロータ(図2(c))は、磁束漏れのないCFRTP成形品を用いた非磁性のフレームに、省レアアースのボンド磁石を上下面に最適に保持する配置を採用する。さらに③センターブラケットは軸受を保持し、磁石とステータのギャップ調整機能を有し、長時間駆動に耐える水冷機能を持つ。以上により、高い出力-重量比を持つアキシャルギャップPM型モータの開発を目指す。設計にあたっては、各部の諸元によりトルク特性を解析して最適化を図る。
 本モータはその構造上、密閉型でありながら発熱量が少なく、雨天時も動作可能な耐天候性に優れるドローン用モータとしての適用が期待される。これにより、高い離陸重量を持ち長距離物資輸送のニーズに対応可能な、全天候型の固定翼ドローンの開発を強力にサポートすることが期待される。また、本モータの性能を始め、構成素材とその成形方法のいずれも省エネルギー・省資源であり、高い経済性を有し地球温暖化防止につながり得る。本新技術開発を通して実現されるアキシャルギャップPM型モータは、当該ドローン以外にも横展開・他分野への波及が期待され、高い公益性、社会性が期待される。

図

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