新技術開発助成

第86回新技術開発-11

きのこ発芽促進用高電圧パルス発生印加装置

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 ミトミ技研
代表取締役   木下 富雄
所 在 地
神奈川県厚木市
技 術
所 有 者
株式会社 ミトミ技研、友信工機株式会社
技 術
開 発 者
株式会社 ミトミ技研
技術部長   北島 俊明

技術開発内容

 昔から、「雷の多い年はキノコが豊作」と言われており、最近の研究では、発芽前のホダ木に適度な高電圧パルスの電気刺激を与えるとシイタケの発生を促進し、一本のホダ木から、従来の2倍前後の収穫の増加が見込めることがわかった。しかし、現在20万ボルトの高電圧パルスを作り出す装置は、小型冷蔵庫ほどの大きさであり、一般農家が使えるようにするため、小型で携帯でき、安全に取り扱うことができる高電圧パルス発生装置が要望されていた。
 従来、高電圧パルスの発生にはコイルの中に蓄えたエネルギーを使う装置が多く、定量の高電圧パルスを発生できるが装置重量が重くなる欠点あった。本開発では、コンデンサに電荷を蓄えて、絶縁プローブ内に設けた放電ギャップをスイッチとして、一定量の高電圧パルスを作り出すことを特徴としている。10万ボルトを作り出す高電圧電源部は、静電塗装装置に使われている小型トランスと多段の倍電圧整流回路の組合せで構成し、効率の高さで電池駆動を可能にした。また、放電ギャップの放電電圧を一定にするために、放電開始前に放電電極にプレ高電圧を加え、電極周りの空気のイオンを飽和させる工夫をしている。装置構成としても、放電ギャップが絶縁プローブ内にあるため、充電部が剥き出しにならずに安全である。
 本開発の携帯できる小型の農業用高電圧パルス発生装置を提供することで、電気刺激による発芽促進ができ、キノコの計画的出荷が可能になり収益を安定化できる。また、小規模の生産農家においても、キノコ栽培での発芽率向上と、ホダ木の寿命延長ができ、森林資源の保全への貢献が期待できる。


図