新技術開発助成

第86回新技術開発-12

汎用元素(Al,O2,N2)のみによる高性能透明断熱シートの開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 清水製作所
代表取締役   清水 正美
所 在 地
京都府京都市
技 術
所 有 者
株式会社 清水製作所、小川 倉一
技 術
開 発 者
株式会社 清水製作所
技術顧問    近藤 匡俊

技術開発内容

 昨今、地球温暖化対応省エネ技術の開発が強く求められており、広範な分野で様々な対応が進められている。その一つとして夏季に窓から入射する太陽熱エネルギーを遮断し、一方冬季には室内の熱エネルギーの放散を防ぐことで、冷暖房負荷を軽減することを目的とした透明断熱フィルムへの期待・需要が高まっている。しかしながら、現行品はレアメタルを構成成分とするものが多く、高価で資源的な問題がある上に、光学特性も必ずしも十分ではなかった。
 本技術開発においては、豊富に存在するアルミニウム(Al)とその窒化物(AlN)が、目的機能を実現する上でそれぞれ適した光学的、電気的特性を持っていることに着目し、独自に開発・特許化している低温、低ダメージでの製膜を可能とするスパッタ技術を駆使して、ポリエステルフィルム上にAlN/Al/AlNという構成の多層ナノ薄膜を形成する技術を開発する。このようなナノレベルでの精緻な膜構造制御を通じて、可視光領域での透過率を80%以上確保しつつ、近赤外ならびに紫外域の透過率を30%以下に抑え、現行品の性能を上回る透明性・断熱性を実現することを狙いとしている。
 本技術開発により資源枯渇の心配のない汎用元素を用いた低価格、高性能透明断熱シートが商品化されれば、地球温暖化対策エコ商品としてその価値は高い。冷却ショーウィンドーや恒温ショーケースへの適用を手始めに、自動車、住宅・オフィスの窓ガラス用として広範な市場を見込める。


図