新技術開発助成

第88回新技術開発-05

印刷におけるVOC削減、溶剤回収再利用と印刷乾燥能力向上

技 術 開 発
契 約 者
ボルテックス株式会社
代表取締役   坂本 文孝
所 在 地
大阪府大阪市
技   術
所 有 者
中島 健次
技   術
開 発 者
ボルテックス株式会社
理事   中島 健次

技術開発内容

 印刷業界で年間約3.5万トン使用されている有機溶剤(酢酸エチル)の主たる使用分野はグラビア印刷で、使用された酢酸エチルの大部分は、印刷乾燥工程で揮発性有機化合物(VOC)として大気中に放出されている。従来の蒸留法やゼオライトを用いた吸着濃縮法で回収した酢酸エチルは、グラビア印刷で要求される水分量0.3%以下を達成できず、再利用できないことが大きな課題であった。
 本技術開発は、ハニカム活性炭フィルターを用いて印刷乾燥工程で発生する不純物(シロキサン)を吸着除去後、段階的に冷却させ、まず水分を凍結し、つぎに酢酸エチルの蒸気圧を液化できる温度(.50℃)に下げ液化回収する冷却凝縮法で、回収液水分率0.3%以下を達成する回収装置を実現するものである。また、(1)ラセン管チューブ熱交換器のチューブに段差をつけ、熱交換器内で乱流を発生させることで熱交換効率を良くしてデフロスト効果を上げ、(2)冷却凝縮工程で発生した低濃度溶剤を含むドライエアーを.35℃露点にして乾燥ラインに再投入することで、乾燥ラインの印刷精度、速度の向上を図る等の工夫をしている。
 大気放流が無い本開発装置により、従来のものに比べ吸着・脱着設備や脱着時の熱エネルギーが不要となり、装置設置面積、ランニングコスト、環境負荷を低減した溶剤回収システムが確立される。その結果、地球温暖化対策のVOC削減、及び酢酸エチルの使用量低減に大きな貢献が期待できる。


図