新技術開発助成

第88回新技術開発-11

次世代SOFCスタックPrinted Fuel Cell®の開発

技 術 開 発
契 約 者
FCO Power株式会社
代表取締役   日比野 智彦
所 在 地
愛知県名古屋市
技 術
所 有 者
FCO Power株式会社
財団法人 ファインセラミックスセンター
技 術
開 発 者
FCO Power株式会社
取締役Chief Scientist   須田 聖一

技術開発内容

 燃料電池の普及による化石燃料の節約とCO2排出量削減に対する効果は非常に大きい。その中でも、最も発電効率の高い固体酸化物型燃料電池(SOFC)が注目されている。しかしまだ本格的普及に至っていないのは次の三つの理由による。(1)高コストで経済的メリットがない、(2)耐久性が十分証明されていない、(3)体積あたりの出力密度が低く、システム全体が大型化してしまう。
 本開発では、印刷技術を活用して、セラミックスからなるセパレータ層を含め、燃料電池の各層(燃料極、電解質、空気極)を積層し、スタックとして一体焼結する新技術でSOFCセルを実現する。スタックの構造は以下の特徴を有している。(1)高い緻密性を持ったセラミックスセパレータが一体焼結で形成され、(2)ガス流路はスタック内に組み込まれ、(3)ガスバリアがスタックに一体化されている。その結果、スタックの厚さは既存技術に比較して1/3〜1/10となり、シンプルな構造で製造工程も少なく製造コストを大きく削減することが可能である。また、高温での一体焼結を拒んできた、各層間の反応による第三の組成層の形成を抑制する技術も開発できたため、性能劣化を生じることなく所望の発電性能を実現できている。本助成では、特にガス透過性の向上を開発目標として実施する。内容的には空気極、燃料極へのガス供給に最適な、一体焼結で形成するガス流路を開発する。
 本技術開発により、低コスト・高体積密度の燃料電池スタックを燃料電池システム製造企業へ提供できるようになり、次世代家庭用燃料電池、大型トラック用補助電源、航空機用補助電源などの市場形成が想定されている。


図

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