新技術開発助成

第89回新技術開発-05

工場内循環水中の一般細菌数自動制御システム開発試作

技 術 開 発
契 約 者
有限会社 スカイ・ブルー
代表取締役   田中 栄一
所 在 地
福岡県福岡市
技   術
所 有 者
有限会社 スカイ・ブルー、九州大学
日鉄環境エンジニアリング
技   術
開 発 者
上記開発契約者に同じ

技術開発内容

 一般生菌数の測定は、培養法が主流であり、その測定期間は24〜48時間を要してしまう。細菌の増殖は20〜30分毎の細胞分裂により24時間後には、1,000個程度の細菌が1,000万個に増えてしまう。工場内の冷却水は、循環使用されており、定期的に生菌数計測を行い、殺菌剤を添加しコントロールしているが、生菌数の計測に時間を要するため迅速な対応ができず、しばしばバイオフィルムによるスライム障害が発生している。これにより、配管やフィルターの目詰まり等を引き起こし、多大なメンテナンス費用を必要としている。また使用殺菌剤も予想値から増量添加されているため材料の腐食や環境面に対しても悪影響を与えている。
 本技術開発は、電界をかけ、マイクロ電極に細菌をトラップし、その時のインピーダンスを計測することにより、生菌数を測定する「DEPIM(誘電泳動インピーダンス法)」(図1)を用いて、生菌数を瞬時に測定するシステムである。このシステムに加え、濾過槽を設けてDEPIMに影響のある夾雑物を自動的に濾過し、その後イオン交換処理により導電率を低減する前処理システム及びデータ転送システムを構築することにより、自動連続測定装置による細菌汚染のモニタリングを実現し、メンテナンスの軽減を図るものである。
 現在、このような自動的な菌数モニタリングシステムは皆無であり、循環使用されている冷却水はもちろんのこと、製紙用白水などにも応用される可能性が高く、適切な殺菌剤量を添加できるため、メンテナンスコスト以外、殺菌剤コストの低減、殺菌剤の環境への排出量の低減など社会的に大きな貢献が期待できる(図2)。


図

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