新技術開発助成

第91回新技術開発-04

泡の湿潤性を利用した、塗料ミスト、塵埃、VOC捕集装置の開発

技 術 開 発
契 約 者
有限会社 田辺塗工所
代表取締役 田辺  直
所 在 地
新潟県新潟市
技   術
所 有 者
有限会社 田辺塗工所
技   術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 塗装業界では揮発性炭化水素類(VOC)を含む排気対策として、排気処理装置の設置や、低公害塗料への転換等が求められているが、コスト面の制約から必ずしも順調には進んでいない。申請企業は、乗用車の鈑金塗装事業を営む地域企業であるが、技術による作業の改善と、施工の高度化を追求し発展してきた企業である。同社は着色顔料を印刷する水圧転写法を改良し、大型金属製品の全面を施工可能とする独創的な装置の開発成功により、新市場を獲得し着実に成長を続けてきた。同社における、塗装ブースの更新の必要性から従来機を精査する中で、環境性能とその経年劣化等に疑問を抱き、検討をかさね、泡(フォーム)の持つ湿潤性に着目した新機構を着想した。金網スクリーンに、フォームを纏わりつかせ、このスクリーンを塗装ブース吸気側に位置させ、効果的・効率的に塗料ミストを捕集しようとするもので、これまで新潟市産業振興財団の支援や、業界団体の協力を得ながら、予備的な実験と開発を行ってきた。
 本開発はトライアンドエラーによる改良ではあるが、圧力損失を高めず捕集率向上、消費電力低減を計るための、最適フォームの形成・移動、最適なスクリーン・風速等の選定・設定、及び、回収塗料ミストのスラッジを効果的に減量するための酵素を活用する浄化条件等を見出すことで、試作装置を開発し性能を実証しようとするものである。業界団体、公設研等の協力を得て、同社のような中小塗装業者において普及させるための小型機と、より大量の塗料を処理可能な大規模ライン用機の2種類の装置開発を目標とする。
 ユーザー視点から考えられた、導入されやすい効果的な排気処理装置が実現されれば、画期的である。現状、法規制は排出量の多い大規模固定発生源に対して限定的に行なわれており、関連業界の自主的取り組みの促進による削減効果を期待するベストミックスの考え方が導入されているが、本装置により、これまで対策が進んでこなかった中小規模事業者を含めて、塗料ミスト及びVOCの外部放出の大幅な抑制が計られることにより、大気環境汚染、温暖化対策が進むことが期待される。


図