ステレオグラムとは左右の視野差を利用して平面上のランダム模様に立体像が浮き上がる仕掛けを埋め込んだ画像である。視覚の調節によって突然立体像が出現する様は見る者に驚きと感動を与える。通常は印刷によって作られるステレオグラムを、切削加工によって形成された微小な凹凸模様のなす陰影パターンによって発現させる技術が申請社により新たに開発され、特許が取得された。はじめから3次元像が容易に見えるホログラムや印刷物の貼り付けとは異なり、切削によるステレオグラムの製造法は品物のテクスチャ自体にユニークな意匠的価値をもたせることのできる技術である。しかしその製造には数十時間の加工時間と多大なコストがかかり、ステレオグラム表面を商品へ適用し普及させるには障害があった。
そこで、切削加工されたステレオグラムを金型として用い、転写によってそれを安価に複製する技術が確立されれば、さまざまな分野に凹凸ステレオグラムを提供することができる。樹脂成型品への応用も特許の範囲ではあるが、本助成では平面ではなく、ロール金型上にステレオグラムを切削造形し、厚みのある紙や皮革などへ型押し加工をする技術を開発する。
申請企業の周辺には神社・仏閣など、多くの観光スポットがあり、地域コミュニティと連携して、そこにステレオグラム転写加工機を設置し、同加工機による記念品のオンサイト製造・販売を計画している。そのほかさまざまな意匠製品や、また皮革製品などの偽造防止マークなどへの応用も検討される。
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