新技術開発助成

第92回新技術開発-09

4インチ酸化ガリウム単結晶薄膜成長に最適化したミストCVD装置の開発

技 術 開 発
契 約 者
ROCA株式会社
代表取締役 人羅 俊実
所 在 地
京都市西京区
技 術
所 有 者
上記技術開発契約者に同じ
技 術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

  サーバー、太陽電池、電車、電気自動車など多方面で利用されているパワーデバイスでは、省エネルギーの観点からエネルギー変換効率の向上、機器の小型化が強く求められており、現行のシリコンからより高性能の新規材料への切り替えが急務となっている。その中で最近酸化ガリウムが有力候補として浮上してきており、その高品位薄膜を大面積成長させることを可能とする装置の開発のニーズが急速に高まっている。
 本技術開発においては、最近開発された新技術のミストCVD法をベースとして、高結晶性、高品質の酸化ガリウム単結晶薄膜を4インチφの大面積に均一に製膜するための装置開発を行う(図1)。本技術では原料水溶液に超音波照射することで微細な水滴(ミスト)を発生させ、これをキャリアガスで500℃前後に加熱した反応部に輸送して、大気圧下で熱分解・成膜を行う。真空装置を必要しないため、装置コストが安価であり、高いスループットで高品位膜を安全に低環境負荷で製造できる点が特徴であり、MBE,MOCVDなど大型装置を必要とする他の製膜技術と比べて圧倒的な優位性を有する。
 パワーデバイスの伝達ロスの低減は国内分だけでも原発数基分に相当する省エネルギーに直結するとされる極めて重要な問題であり、その実現の鍵を握る新規半導体材料の開発が待ち望まれている。本技術開発はここ1〜2年で急速に注目度が高まっている酸化ガリウム薄膜の製品化、量産に向けた研究開発を支援、加速させ、低損失パワーデバイスの実現に大きく貢献する可能性を秘めている。

図