新技術開発助成

第92回新技術開発-11

多元素同時分析可能な波長分散型蛍光X線分析装置の開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 テクノエックス
代表取締役 谷口 一雄
所 在 地
大阪府大阪市
技 術
所 有 者
上記技術開発契約者に同じ
技 術
開 発 者
株式会社 テクノエックス
開発部 分光グループ 主任 河本 恭介

技術開発内容

  波長分散型の高エネルギー分解能と、エネルギー分散型の同時分析を両立させた蛍光X線分析装置に関する技術開発である。前者は、高精度だが同時分析が不可能で、かつ大型・高価である。一方後者は、多元素の同時分析が可能で小型・低価格(従来の1/2以下)だが分解能が低いという特徴を有する。本技術開発により、対象元素の精密分析と同時に多元素同時分析が可能かつ、小型・低価格で使用現場に設置できる分析装置のニーズに応えることができる。
 精密分析の対象元素の蛍光X線波長に相当する分光結晶と、励起用の特性X線波長に相当する分光結晶の両方から分光されたX線を、エネルギー分解能を有する半導体検出器で検出する。こうすることで、両方からのエネルギーの異なるX線を同時に検出でき、両者の強度比が求まるため、バックグラウンドの影響をキャンセルすることで、対象元素の正確な定量分析が可能となる。同時に、他元素からの蛍光X線を半導体検出器に入れることで、他の元素の同時定量分析が可能となる。図1には、例として硫黄(S)分析用に開発するX線分光系を、図2には、本開発装置で想定される、試料中のSからの蛍光X線と、X線管のPdターゲットからの励起X線の測定結果を示す。この比を求めることで、Sの精密な定量分析が可能となる。図中、従来装置はPd用分光結晶がないのでSからの蛍光X線のみが測定される。
 当面は、石油業界向けに、石油中に含まれるS、C1の精密な定量分析と、重金属の同時分析のニーズに応える。さらに、食品や水道水などの分析装置として、食品業界、JA、水道局などでの利用が想定される。

図


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