本新技術開発で開発する変形可変コリメーターはX線ビームによるがん治療装置に使われるもので、X線の照射形状を患部の形状に合わせ、より効果的な治療を行うことを目的とする。開口部を六角形の縦横の長さを自在に可変できる絞り方式を採用することにより、小さい患部に対して、従来の装置よりもがん患部の形状に近いX線ビームの照射を可能にする。正常組織への被爆を避けることができ、小さいがん患部の治療に適応したシステム構築に提供する。
具体的には、三角柱形状を持つ6個のX線遮蔽部材の位置を放射状に調整するアクチュエータを持つメカニズムと、3個ずつ相対的な直線方向にスライドさせることができる位置調整メカニズムにより、変形された六角形状の開口部を作りだす。この変形可変コリメーターを、ロボットアームにより自由な傾斜、回転、位置決めができるようにしたX線ヘッドの先端部に取り付けることにより、がん患部を狙って複数の方向から繰り返し照射することによって、より効果的ながん治療を行う。
年々増加するがん患者への負担を減らしながら治療できる放射線治療装置を提供でき、公益性も認められる。高齢化が進んだ社会では、がん患者が必然的に増加する。現在、欧米では60% 以上のがん患者が、肉体的な負担の少ない放射線治療を選択している。日本はその半分であるが、今後増加すると考えられる。本変形可変コリメーターにより構築されるX線治療装置は、コンパクトで取り扱いも容易であり、初期がんを手軽に治療できるというメリットを生かした医療ニーズに対応し、経済的、社会的貢献は大きいものと期待される。
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