新技術開発助成

第96回新技術開発-08

咬合力計測システムの開発

技 術 開 発
契 約 者
合同会社 MOTT
代表社員 小川 睦夫
所 在 地
神奈川県横浜市
技 術
所 有 者
合同会社 MOTT
技 術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 咬合(歯の噛み合わせ)異常があると顎関節、中枢神経系などに障害が生じ、また、その補綴治療(詰め物や入れ歯による治療)では咬合力分布の時間変化が不明なために多くの治療エラーが発生している。本技術はこのような歯科医療の現場の課題に応えるもので、噛み合わせ力分布をリアルタイムで計測・可視化し、さらに、絶対咬合力の把握、咬合の重心表示も可能とする。
 本システムは計測センサ(図1)と表示部(図2)から構成される。センサ素材にダイナミックレンジの広い有機圧電フィルム(PVDF)膜を用いる。約30μm厚のPVDF膜を数μm厚のPET膜で挟む構造であり、薄くしなやかで自然な噛み心地が得られる(東北大で実証試験済)。また、不要部をスキップする独自の高速スキャン方式(特許出願中)により、かつて無い時間分解能(0.1msec)と空間分解能(構成センサ数256個程度)を同時に実現する。既成類似製品としては導電性インクや発色カプセルを用いるものがあるが、ダイナミックレンジが不十分、リアルタイム計測が不可能といった問題がある。本システムはこれら既存技術の問題も解決する。
 歯科治療において咬合バランス、噛み合わせの状態を計測し、即座に可視化することで、咬合異常に起因する様々な症状の改善、予防に貢献するとともに、技工者の技術レベルによらない正確な治療を実現し、補綴治療ミスを減らすことが期待される。さらに、高齢者の口腔の健康状態を把握し、患者に適した介護食の提供を可能にするなど、超高齢化社会における高齢者の生活改善にも貢献する。

図

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