睡眠時無呼吸症候群は、日本での潜在患者は人口の4%と言われ、脳梗塞や心筋梗塞などの疾患に加え糖尿病やうつ病などの病気を発症する確率は極めて高い。しかし、この病気の治療機器としてはCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)等に限定され、治療できている患者は40%にすぎない。このことから長期間治療が継続できる有効な治療機器が望まれていた。これに対処するため、使い勝手の良い「nastentclassic」を実用化したが、重症患者に対しては効果が低かった。そこで、円筒形で挿入しやすいが、挿入後は30mmH2Oの閉塞圧力に耐えられる形状に変化し、気道を確保することで重症患者にも有効な「nastentex」を新たに開発したが、コスト高がネックであった。
本開発の目標は、この「nastent ex」を、1 回あたりのコスト低減を実現するため、リユースできるように改良する。具体的には、鼻気道に装着して使用することから、電子レンジで殺菌可能なノーズクリッパーの開発、本体表面の防汚コーティング技術の開発、拡張部を戻せる水溶性バンドの開発であり、患者自身で殺菌ができ、挿入後に変化した形状を挿入前の形状に容易に戻すことが可能となる。
その効果として、病院に通院することなく、CPAPと同等のコストにて、睡眠時無呼吸症候群の治療が可能となり、患者の心体的負担の大幅な軽減だけでなく、派生する事故災害の低減や経済損失の低減にも貢献できるものである。
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