ビル・橋梁用免震ゴムや自動車用防振ゴムは、加硫接着という工法が用いられるが、大量の揮発性有機化合物(VOC)を放出する。この解決策として加硫接着剤フィルムを開発販売したが、転写時に80℃の余熱が必要であり、港湾用防舷材・製鉄ロールなどの大型金属は予熱が難しく、また接着剤の種類によっては、融点が高いために熱溶解しにくいものがあり、結果として転写不良を生じやすい等の問題が見つかった。
本技術開発は、ゴムと反応する接着剤を基布に含浸させてそれを乾燥させた後に、第2層として金属と反応する接着剤を塗工し乾燥して2層からなる接着剤フィルムを開発するものであり、その使用方法は、加硫接着を行いたい場所にこのフィルムを置き、ゴム材料と挟んで金型に投入し、プレスや加硫缶などで熱と圧力を掛けることで成形と加硫接着を同時に行うものである。
従って、転写が不要となるために、相手金属形状に合致した接着が可能となり、オイルシール、防振ゴムブッシュ、エンジンマウントなどの量産に最適で、港湾用防舷材・製鉄ロールなどの大型金属にも対応できるものである。更に基布が加硫接着後、ゴムの中で接着界面の補強材として働き、接着力・接着耐久性を向上させることも期待できる。
本開発の新規加硫接着剤フィルムは、
(1).VOCを排出しない防振ゴム工程
(2). 高精度な接着工法
(3). 強力な接着工法
(4). 低コストな接着工法
により、防振特性、コストパフォーマンス、環境性に優れた自動車用防振ゴム・建設用免振ゴムの提供を実現するものである。
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