新技術開発助成

第97回新技術開発-06

非可食バイオマスからのアミノ酸製造

技 術 開 発
契 約 者
Green Earth Institute 株式会社
代表取締役 伊原 智人
所 在 地
東京都文京区
技 術
所 有 者
公益財団法人 地球環境産業技術研究機構
技 術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 バイオマスを出発原料とした物質生産は環境に優しい技術として注目されているが、とうもろこしや小麦などの食糧を原料としているのが実状である。地球規模の食糧問題の観点から、現在は捨てられている非可食バイオマスを原料としたバイオプロセスが望まれる。
 技術所有者(略称:RITE)が開発したコリネ菌を用いるバイオプロセスは、嫌気条件下において反応槽のなかで微生物が増殖することなく、しかし物質生産は続くため、高収率・高生産性をもつ優れた生体触媒とみなすことができる。本技術開発では、木質バイオマスや稲わらなどの非可食バイオマスから、同バイオプロセスを用いて、高付加価値を持つアミノ酸であるバリンの生産を目指している。RITEの独自技術である増殖非依存型のバイオプロセスは、発酵阻害物質が共存しても高い産生能力を維持するため、非可食原料に対して有望である。開発者らは、同プロセスを用い、アミノ酸の一種であるアラニンについて生産プロセスを確立しており、商業化での実績がある。同プロセスについては数多くの特許が成立し、また目的産物に合わせた改良型の微生物についても特許を有している。今回提案のバリンについても、これに適した遺伝子組み換え菌の特許を出願している。
 本開発により、これまで廃棄物として捨てられていた非可食バイオマスを原料として低価格のアミノ酸(バリン)が生産できるようになる。バリンは飼料添加物、食品添加物、医薬品原料などに使われているが、価格が高いため、その用途は限られていた。本技術で生産することで価格が下がり、幅広い用途での利用が期待できる。石油を使わず、食糧と競合する原料を使うこともなく、微生物の持つ力だけで、地球が抱えている3大課題(食糧問題、環境問題、エネルギー問題)の解決に貢献することが期待される。

図