新技術開発助成

第98回新技術開発-04

HIP合金多層ダイの開発

技 術 開 発
契 約 者
平井工業株式会社
代表取締役 平井 一典
所 在 地
兵庫県尼崎市
技   術
所 有 者
平井工業株式会社
技   術
開 発 者
平井工業株式会社
営業部長 平井昌夫

技術開発内容

  現在、塗工などに使用されている多層塗工ダイは、ステンレス材が主体である。多層塗工の先端エッジは、異種の液体が流れ、1層ダイ以上にキズ・摩耗によるエッジの形状変化が激しく、塗工機材に影響を与え、頻繁な装置の停止とダイの清掃など稼働率の低下が、生産性の悪さを招いている。
 今回、多層の積層塗工を一度ですることのできる多層塗工ダイをハロゲン系酸に強い合金でHIP処理し、錆、摩耗、耐食性に優れたHIP(Hot Isostatic Pressing)合金ダイの開発を行う。
 多層としたために、合金体積が大きくなり、母材によって支持されない中間ダイの合金と母材の接合不良が発生しやすくなっている。そのためHIP合金バーを製作して、製品となるカプセルにHIP合金バーを充填するとともに、母材とHIP合金との接合に緩衝剤を介在させるなどの改良を図り、母材に対するHIP合金の支持を強固にしている。また、コーティングする材料の範囲を先端エッジから塗工液の流路まで広げて多層を一度にコーティングし、硬質の材料を塗工するような場合でも、より長時間稼働を可能とする。
 リチウム電池の製造時に用いられるリチウム含有金属酸化物など無機化合物、また複合酸化物さらに有機高分子加工物等、炭素繊維、黒鉛、カーボン粉、セラミックス系の塗工液をコーティングする際、材料によっては、ダイの硬度が低く、今までは単層コーティングを繰り返していた。このような材料に対して、一度の作業で多層のコーティングが可能となり、製造ラインの簡素化が図れる。また、エッジから流路全体の硬度と腐食に強いため、稼働時間の長い均一な塗工を達成することができる。

図