新技術開発助成

助成テーマ完了認定企業紹介 027

第89回 平成24年度第1次助成テーマ

完了認定 平成26年2月
代表取締役 木戸千栄子
代表取締役
木 戸 千栄子
企業名 パール工業株式会社
会社概要 資本金 :80,000,000円
従業員 :109名
事業内容 自動車、医療、半導体関連企業向け産業装置の製造販売
助成テーマ名 プラズマを用いた遺伝子導入装置の実用化研究

開発技術の概要

 現在先端医療の分野では遺伝子の導入にウイルスベクターを用いた手法が多く用いられていますが、ウイルスの特性上予期できない作用が発生することが避けられませんでした。また植物細胞など外壁をもつ細胞への遺伝子や蛋白質などの生体高分子の効率のよい導入方法はなく、遺伝子の導入にはウイルスやバクテリアが多く用いられています。更に細胞内に移行しづらい医薬品(特に高分子医薬品)などを容易に導入する方法の確立は医薬品の投与方法にとってブレークスルーになる可能性があります。
我々は組織や細胞に障害を与えることなく遺伝子・蛋白などの生体高分子や医薬品を導入できるプラズマ遺伝子導入の基礎技術を有しており、本助成によりさらなる技術開発と試作機の作製を目指しました。
 我々独自の技術であるプラズマを用いた分子導入方法は2004年に特許化されましたが、実用化に際しては、プラズマの安定性の問題から、(1)導入効率が不安定、(2)低い細胞障害性と高い導入効率が十分に両立されていない、などの課題がありました。
 我々は、新たに愛媛大学神野・本村研究室の参加を得て、プラズマの照射方法をマイクロキャピラリーを用いた微細プラズマとし、プラズマを時間的空間的に安定化させることで細胞に対するプラズマの作用をコントロールし、導入効率の安定化を達成しました。
 また、レーザー変位計を用いた位置決め技術を導入することで、細胞とプラズマとの距離を微細にコントロールできるようになり、低い細胞障害性でありながら高い遺伝子導入効率を達成し、従来からの課題を克服することに成功しました。
 さらに、プラズマ照射部を自動化ロボットに装着しコンピュータコントロールすることで、多数のサンプルを安定した条件で処理可能な実用化を目指せる試作機を完成することができました。
 今後、装置の信頼性や耐久性などを高めると共に、多種多様の細胞での導入検討を行い、プラズマ照射の条件を自動設定できる装置として市販化することを目指しています。

図

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これからの計画

 最終的には医療機器を目指しますが、2-3年以内に研究機器としての発売を目指します。今回の開発で基本性能が必要レベルに達し自動化ロボットが装備された試作機が作製できましたので、多種多様の細胞種での導入条件を明らかにするとともに、市販化に向け、装置としての信頼性・耐久性などを高める開発を進めます。同時に、本装置を用い、先端的な治療に向けた基礎検討を複数の研究機関と連携し、医療機器としての可能性を探索いたします。また、植物細胞などに対する検討も併せて開始する予定です。


企業からのお願い

 再生医療、遺伝子治療などの先端医療分野ではウイルスベクターを用いずに細胞に障害を与えず高効率で遺伝子を導入する新たな方法の開発が望まれています。今後我々は多種多様な細胞(例えば、iPS細胞や幹細胞など)での高効率な遺伝子の導入方法を事業化して行く所存です。興味のある研究機関および企業からのコラボレーションをお待ちしておりますとともに、皆様方からのご支援・ご指導を賜りますようお願い申し上げます。


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