植物研究助成

植物研究助成 19-18

茶葉ポリフェノール等の簡易計測方法の開発

代表研究者 山形大学 工学部 技術部
技術専門職員 堺 三洋

背景

 静岡県名産の緑茶には多くのポリフェノールが含まれており健康維持のために欠かせない成分であり、緑茶の効能や味は日本食すばらしさと共に世界中で注目されている。お茶は生産地および製法更に品種などにより少しずつ風味も変化し味わい深い。これら緑茶などの成分分析は高価な分析機器を用いる必要があり、その装置を分析する専門家に作業を委ねるしかない現状である。一方生産現場である農家などではお茶の外観や味で茶葉の良し悪しを判断していると思われる。

目的

 低価格で簡単な分析方法を開発し、生産現場でも緑茶ポリフェノール等の成分分析ができるようにしたい。

方法

 色素増感型太陽電池(DSC)の測定方法を利用して緑茶等の成分分析方法を開発する。DSCの構造は、透明電極基板に焼付けたアナターゼ型TiO2上に色素を吸着させる。色素吸着後のTiO2と対向させて透明電極を置き電解液を注入すると太陽電池として動作し、中学生レベルであればDSCを組み立てられる簡単な構造となっている。このとき用いる色素として緑茶等を使用すると黄色のDSCとなる。DSCの分析方法は一般的に高価格な計測装置で測定するのであるが、ここでは、市販されている3色のLEDを光源とした簡単な装置を用いて測定を行う。市販LEDは青色(波長:約450nm),緑色(波長:約550nm),赤色(波長:約620nm)付近の可視光帯波長とする。DSCに光源であるLEDを照射すると電流と電圧の曲線が描ける。これをI−V特性と呼び、I−V曲線が大きな値となればDSCとして特性が良いことになる。緑茶ポリフェノールなどの有効成分が多ければ、DSCのI−V曲線は大きな値となると推測する。茶葉の色あいも3色LED光源を用いることから、例えば緑色の葉が茶色になればそれぞれの波長におけるI−V特性も異なる値が得られる。

期待される成果

  低価格で簡単に成分分析ができることから、JAや生産現場での品質管理が容易になると思われる。また高価な分析機器をもてないアジア各国での利用が期待される。