地球環境研究助成

地球環境研究助成03-05

公共調達のデジタル化によるグリーン調達促進:自治体の脱炭素化

代表研究者
早稲田大学 政治経済学術院・教授
有村 俊秀

研究の背景・目的

背景:公共調達の市場シェアは非常に大きいが、脱炭素化に向けた取り組みは十分でない。中でも、自治体の調達額は集計すると国よりが大きいが、その取組みは遅れている。特に中小自治体では人員不足もあり、グリーン調達が遅れている。
目的:日米共同研究を通じて、地方自治体の公共調達のグリーン化促進策を考える。特に、調達の電子化・デジタル化の促進策の方針について考え、それによるグリーン調達促進効果を検討する。グリーン調達の品目としては、省エネ製品の調達、再エネ電力の調達の促進策について明らかにする。

研究内容・課題

研究内容:自治体のグリーン調達を促進することを通して、脱炭素化を進める方策について検討する。そのため、①自治体のグリーン調達全般を促進する方策について検討する。②グリーン調達促進におけるデジタル化の役割と促進策を明らかにする。③その際、エコラベル・判断基準の活用方法に注目しながら、省エネ製品の調達を進める方策を明らかにする。④グリーン調達による再エネ電力普及方策を検討する。
課題:自治体のグリーン調達は脱炭素に大きな武器になるが、その普及は十分ではない。特にデジタル化(電子化)の促進が、グリーン調達の促進に効果を持つ可能性があるが、多くの自治体において、調達のデジタル化・電子化は十分に進んでいない。

課題解決の研究手法

①自治体グリーン調達促進要因について、特に、調達のデジタル化(電子化)が、グリーン調達にどのような効果を持つかを、環境省から入手した「グリーン購入に関するアンケート調査」等を活用して分析し、定量的に因果関係を明らかにする。
②自治体の調達におけるデジタル化の阻害要因と促進要因を明らかにする。上記データ等を活用しながら、統計分析を行いデータ科学的な視点で定量的に因果関係を明らかにする。デジタル化の進んでいる米国でもヒアリングを行い、日本への知見を得る。
③協力自治体を選定し、連携しながら研究を行う。インタビュー等を通じて、調達のデジタル化、グリーン調達促進方策を検討する。その際、特に、調達における省エネ製品購入を促進する方法について検討する。特に、エコラベル・判断基準の分かりやすさが与える影響について明らかにする。

期待される研究成果

 本研究により、自治体のグリーン調達が促進され、脱炭素化に貢献できる。第1に、調達のデジタル化が進む方策が明らかになる。第2に、調達のデジタル化がグリーン調達促進に与える効果、「調達をグリーン化する」ために有効な調達のデジタル化の方向性が明らかになる。第3に、省エネラベルが活用され、省エネ製品の調達が進む。第4に、再エネ電力の調達促進が進む。最後に、各国先進事例調査を通じて、自治体に活かされる方策が分かる。