復興支援特定研究助成

復興支援特定研究-05

研 究 題 目
市民・専門家双方のための放射線リスク コミュニケーションデータベース構築
所属機関・役職
日本大学 理工学部 准教授
代 表 研 究 者
松野 裕

【研究目的】

本研究の目的は、放射線について市民が日常生活において疑問・不安に感じている内容と、実際に専門家との対話を通じて合意形成に至った過程を放射線リスクコミュニケーションデータベース(以下DB)として網羅し、市民・専門家双方にとってわかりやすい形で可視化することで、原発事故における放射線リスクコミュニケーションを円滑化することにある。

【研究方法】

放射線について市民が日常生活において疑問・不安に感じている内容と、実際に専門家との対話を通じて合意形成に至った過程を、実際の事例をベースに自然言語処理により分析した上で、放射線リスクコミュニケーションデータベース(DB)として整備する。DBに登録された情報は、市民・専門家双方にとってわかりやすい形で可視化、一般市民による実証実験により有効性を検証する。

【研究成果】

1. 東北大学の千田教授の一般市民からの聞き取りなどから、一般市民からの質問や不安点への解答をまとめた。その結果、36個のトピックを抽出し、それらをアシュアランスケースにより構造化した。その結果を東北大の千田教授ら二人の専門家にレビューしてもらった。
2. 専門家、一般市民が互いに議論をすることのできるツール「D-Case Communicator」を開発した。図2は「D-Case Communicator」のスナップショットである。左はアシュアランスケースをウエブベースで記述するためのインタフェースである。右は、専門家、一般市民がネットワーク上でアシュアランスケースを共有し、記述するためのインタフェースである。

図

3. 放射線データベースは、朝日新聞、読売新聞などをもとに、35,000件作成した。作成したDBデータの内、200データ以上が、36個のトピックと関連することがわかった。

【まとめ】

放射線に関する情報をデータベースとしてまとめ、アシュアランスケースと呼ばれるシステム保証の手法を応用し、専門家と一般市民が共同で議論を行えるツールを開発した。上記のツールやデータベースは、松野研究室のホームページ(http://mlab.ce.cst.nihon-u.ac.jp)で公開している。