受賞団体訪問
活気ある大規模校に根づく「凡時徹底」の心とチャレンジ精神 |
第52回(2021年度)奨励団体賞 個人賞入賞4作品 福岡県小郡市立 三国中学校 |
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個人賞を受賞した4名の生徒と工藤正則校長(後列左)と技術担当の福村一貴教諭(後列右)
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「利他の心」「向上心」から生まれる挑戦の姿勢 |
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2021年に行われた第52回市村アイデア賞は32,837件の応募をいただきました。前回は、新型コロナウイルスの世界的な流行により落ち込んだ応募数も9,000件あまり回復いたしました。みなさまが大変な環境のなか、さまざまな工夫・努力をしていただいた証であると思います。 今回3回目の挑戦で奨励団体賞と市村アイデア優秀賞を含む4人の個人受賞を果たした小郡市立三国中学校(以下、三国中)は、3年前の初挑戦で努力団体賞を受賞しており、前回の51回市村アイデア賞でも5人の個人受賞を果たすなど、躍進著しい注目校です。 福岡県の中央部に位置し福岡市や久留米市などのベッドタウンでもある小郡市にある三国中は、828名の生徒が在籍する県下有数の大規模校です。工藤校長は「大規模校ということもあり、学校全体に非常に活気があり元気な生徒が多いのが本校の一番の特徴です。常日頃『凡時徹底』『利他の心』『向上心』ということを生徒には伝えており、そういうチャレンジ精神が本校の生徒にはあるのだと思います」と語ってくれました。 また、三国中は全学年において理科と社会の成績が他教科と比較してよいのだそうです。「一昨年まで日産財団さんの理科教育助成を受けておりまして、理科教員たちの努力で生徒たちが『発見する喜び』『実験して見つける喜び』を学んでくれました。こうした経験やノウハウも市村アイデア賞の受賞に繋がっていると思います」と工藤校長。
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タブレット端末で広がる発想と交流 |
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三国中が市村アイデア賞への挑戦を始めたきっかけは、技術担当の福村教諭が県の分科会で市村アイデア賞を知ったことだそうです。「ちょうど、夏休みの宿題に何をやらせようかと考えていた時でした。正直参加者全員に記念品がもらえるという点にも惹かれました」と福村教諭。気軽な気持ちでスタートしたように聞こえますが、福村教諭はまず最初に技術の役割という観点で「欲求を実現する」「生活を便利にする」「資源・環境を守る」という話を生徒にされたそうです。そして過去の受賞作品を紹介する際に「小学生がこういうアイデアを考えているんだよ」と、三国中の生徒に根づくチャレンジ精神をうまく刺激していたようです。また最初の挑戦で受賞者が出たことも、生徒たちに良い刺激になっていたのは言うまでもありません。 今回の三国中の受賞作品は、その工作の完成度にも目を引かれました。技術の授業での成果が反映しているかと聞いたところ、福村教諭は「技術の授業では基礎的なことしかできませんので、今回の受賞者の工作については生徒の努力の成果です。今は生徒全員にタブレット端末が配付されていますので、各自ネットでいろいろな材料を見つけてきていたようです」と語ってくれました。 コロナ禍の下、学校教育の現場で急速に普及したタブレット端末は、生徒たちの想像力や知識欲を広げることに大きな役割を果たすだけでなく、意見の発表や生徒間の交流・情報交換などを効率よく行えるアイテムとして重要な役割を果たしているようです。
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自分たちがより良く生きるために行動する |
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今回、受賞した生徒にそれぞれのアイデアについて話を伺うと、生徒一人一人に根づいた身の回りに向ける細やかな視線があることに気づかされます。それぞれが日常の中で見て心に留めていたことが、市村アイデア賞への応募というきっかけですばらしいアイデアに結実したのだと感じました。福村教諭も「発想は自分だけではなかなか育っていきません。市村アイデア賞は生徒たちの発想を育てるよいきっかけになります。これからも生徒全員応募を目指して参加させていただこうと思っています」と語ります。 最後に工藤校長は「普段の生活の中からいろいろな小さなこと、細かいことに興味を持つことは、これから生徒たちが生きていくうえで大事なことです。科学という分野だけに限らず、自分たちがより良く生きていくためにどうしていくべきか。そういう点に興味や感心を持てる生徒を育てていきたいです。そのためにも市村アイデア賞という場をいただきアイデアを評価していただけたことが、生徒たちの励みになります」と語ってくれました。 |
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個人賞受賞のみなさんにお聞きしました |
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(取材日 2022年1月14日 福岡県小郡市)
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