市村産業賞

第53回 市村産業賞 貢献賞 -03

超高圧液体水素供給バルブ及び継手技術

技術開発者 株式会社 フジキン
わざづくり(技術)部門 技術本部 実戦技術開発センター
主幹 薬師神 忠幸
技術開発者 同社 同部門 同本部 同センター
革新開発設計課 主査 平松 浩司
技術開発者 同社 同部門 同本部 同センター
革新開発設計課 主事 柳田 保昌
推  薦 九州大学

開発業績の概要

1.開発の背景
 カーボンニュートラルに向けて官民一体となって水素エネルギーの活用が図られている。燃料電池自動車・バス等に水素を供給するステーションは世界的に多くの設置が計画されている。株式会社フジキンも水素ステーション向けにバルブ機器を開発し販売をしている。

2.開発技術の概要
 水素ステーションでは安全にかつ安価に水素を供給する技術が求められている。当社の主力事業は半導体製造プロセス用のバルブ機器であり、毒性や発火性のある危険なガスを制御し供給する技術を確立している。そのガス制御技術に加えて、超高圧(82MPa)の水素ガスに耐えるバルブ機器を開発しご提供している。水素エネルギーの課題はコストの低減である。その切り札として注目されているのが液体水素である。気体水素に比べて体積が約1/800と小さく、輸送コストの低減と貯蔵の効率化ができる。ただし液体水素の極低温(-253℃)に耐える機器が必要となる。当社は宇宙開発分野向けに極低温対応バルブ機器も開発販売している。宇宙ロケット燃料の液体水素と液体酸素を充填するバルブ機器で、種子島射場で活用いただいている。この宇宙開発分野と半導体分野の技術をもとに、液体水素ステーション向けに新たに開発したのが今回受賞した「超高圧液体水素供給バルブ及び継手技術」である。

3.開発技術の特徴と効果
 開発した技術をもとに製品化し販売をしている。小型で極低温・超高圧に耐えるバルブと高いシール性と施工性・保守性に優れた継手である。水素供給の安全性向上はもとより、水素ステーションの省スペース化による建設コストの削減と、メンテナンス性の向上による運用コストの低減を実現している。


図1

図2