市村産業賞

第58回 市村産業賞 功績賞 -03

産業・工業用印刷のA to Dの普及に資するインクジェットヘッド

技術開発者 株式会社 リコー リコーグラフィックコミュニケーションズ
産業印刷事業本部 IJデバイス開発センター ヘッド開発室
開発二グループ エキスパート 清水 武司
技術開発者 同社
元所長 飛田 悟
技術開発者 リコーインダストリー株式会社
元理事、元技師長 久貝 健一

開発業績の概要

1.開発の背景
 インクジェット印刷装置の市場は、屋外看板用途などに用いられるワイドフォーマットプリンターが大きく伸びており、特に速乾性に優れたUVインクを使用したプリンターの成長が著しく、ノズルの高密度化による低価格と印刷生産性を兼ね備えたインクジェットヘッドが求められていた。

2.開発技術の概要
リコーと旧日立のプリンター事業との統合により、両社の技術を融合し、以下の新たなインクジェットヘッドのコア技術を確立した。

(1) ピエゾの超精密加工技術によりバイピッチ構造とし、液室剛性を上げることで吐出時の安定性を飛躍的に上げ、高速吐出を可能とした。
(2) 薄板金属プレートの高精度プレス加工技術により、金属の高精度かつ狭ピッチ精密部品を開発し、耐インク性に優れたオールメタル構造を実現した。
(3) 液滴制御技術(高温マルチドロップ)により、加温が必要なUVインクにおいてもマルチドロップ駆動や連続安定吐出との両立を可能とした。

3.開発技術の特徴と効果
 UVインクでの高速印刷・高温安定吐出を実現するとともに、マルチドロップによるグレースケール表現、様々なインクへの対応力、高耐久・長寿命、高精度を特徴としたMHシリーズインクジェットヘッドを開発した。本技術によって、サイングラフィックはもとより環境負荷の少ないデジタル捺染などの産業用印刷、さらには3D造形・配線パターンなどの工業用印刷、リチウムイオン二次電池、ペロブスカイト太陽電池の製造への応用など工業用分野にも活用が進み、Analog to Digital を牽引しSDGsへ貢献していく。

図1

図2