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1.開発の背景
カーボンニュートラルの達成には二酸化炭素(CO2)の分離回収技術が必要不可欠であり、大規模設備に適用可能な化学(アミン)吸収法に使用されるCO2回収アミンの需要が高まっている。従来のCO2回収アミンは燃焼排ガス中の不純物(NOxなど)により分解されるため、火力発電所やセメント工場などで長期間連続使用できず、高い耐久性を有するアミンが求められていた(図1)。
2.開発技術の概要
種々のアミン化合物の耐久性を検討し、NOxに対して高耐久性を示す1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン-2-メタノール(RZETA)を見出した。RZETAはその特異的な構造により、高耐久性、高CO2回収性能、水への溶解性を併せ持つ(図2)。CO2回収ベンチ設備を設置し、燃焼実排ガスからのCO2回収試験を実施した結果、120日の連続運転でRZETAの分解は観測されず(アミン残存率100%)、CO2回収率は目標として設定した90%を安定的に維持することを実証した(図3)。また、RZETAの特異的な構造を製造する独自プロセスを開発し、自社製造プラントによる工業的量産体制を確立した。
3.開発技術の特徴と効果
RZETAは高耐久性と高CO2回収性能の特長から、CO2回収エネルギー(CO2 1トン回収に必要なエネルギー)を従来剤であるモノエタノールアミン(MEA)よりも低減可能である(CO2回収ベンチ設備評価で、MEAよりも回収エネルギーを27%低減可能なことを実証)。また、アミンの分解が抑えられるため、CO2回収アミンの補充・交換頻度が減少し、CO2回収アミンや設備メンテナンスのコスト低減に寄与できる。これにより、排ガスにNOxを含む火力発電所やセメント工場などに、化学吸収用によるCO2回収技術を普及できることが期待できる。
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