新技術開発助成

第108回新技術開発-06

非触知病変部位を同定する磁性マーカーの開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 マトリックス細胞研究所
代表取締役社長 日下部 守昭
所 在 地
茨城県牛久市
技   術
所 有 者
株式会社 マトリックス細胞研究所
技   術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 近年、乳腺画像診断の進歩と乳がん検診の普及によって乳がんの早期発見が可能となり、触 診だけではわからない非触知病変の切除生検や切除手術が増加している。非触知病変部位の特定方法として、フックワイヤーを用いた方法やラジオアイソトープを用いた方法等があるが、有効性や安全性が術者の技量に依存したり、特別な施設が必要になったり等の課題を抱えていた。
 本技術開発では既に磁性流体を併用した生検用途に開発済みの磁気プローブと組み合わせて、非触知病変部位を特定可能な磁性マーカーと挿入機の開発を行う。開発する磁性マーカー(図1)は、挿入時は挿入針で挿入可能なφ0.8mmの針状だが、病変部位にてΔ形状に変形(図2)することで、エコー視認性、留置安定性を向上させている。またマーカーがΔ形状に変形後の磁化方向が揃うように事前着磁することで被検知能力を強化し、シングルハンドでマーカーを挿入、変形及び糸切まで可能な挿入機も併せて開発する。本技術開発が成功すれば、競合する既存の製品に対して、検知距離や留置安定性、エコー視認性に優れた磁性マーカーを、半分以下の価格で提供することが可能になる。
 磁性マーカーを用いた術式は他の方法に比べてより安全で安価に手術可能で、従来の磁性マーカーよりも低価格な本磁性マーカーが普及すれば、医療費の削減が期待できる。また本磁性マーカーが持つ位置ずれし難く、検知しやすいという特徴により、非触知病変部位切除時の切除マージンが少なく出来るので、患者の身体的な負担の軽減や術後のQOL向上が期待される。

図
 
図