新技術開発助成

第108回新技術開発-09

プラズマ分子導入法による医療研究用装置の実用化研究

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 アイジーン
代表取締役 佐藤 晋
所 在 地
愛媛県松山市
技   術
所 有 者
株式会社 アイジーン
技   術
開 発 者
株式会社 アイジーン
取締役 研究開発担当 神野 雅文

技術開発内容

 細胞や組織に遺伝子やタンパク質などの高分子物質を安全かつ効率的に導入する技術の開発は、遺伝病や難治性がんの細胞治療、ならびにiPS細胞の樹立などの再生医療に加え、食糧生産やヘルスケアなど、SDGsにつながる幅広い分野への貢献が期待される。
 細胞への遺伝子導入法としては、ウィルスベクター法、電気穿孔法、リポフェクション法が知られているが、いずれも安全性や導入効率に難があり、細胞障害や遺伝子変異などの課題もある。これに対し本技術開発の提案者らは、遺伝子導入にプラズマ照射が有効であることを最初に示し、これを権利化している。すなわち細胞にミリ秒単位のごく短時間、交流電場をかけることで、安全かつ極めて高い効率での遺伝子導入が可能であることを確立し、導入のメカニズムがエンドサイトーシスによることを解明している。またプラズマ照射による活性酸素種などの化学的要因と電流などの電気的要因の生成がその引き金となっていることを証明している。すでに70種以上の細胞で遺伝子導入が可能であることを示すなど基礎研究は終わっており、本開発助成においては小型・軽量かつ安価(約50万円)な装置に組み上げ、医療研究用装置として普及させることを目的としている。
 本マイクロプラズマ法が高い遺伝子導入効率を有することは実験データから明瞭であり、また原理的には遺伝子に限らず、広くタンパク質などの高分子物質にも適用可能であることから、生命科学の基礎研究に対しての幅広い貢献が期待できる。医療以外にも、農林水産関係、環境分野などへの波及効果が期待できる。

図
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