新技術開発助成

第115回新技術開発-12

黒海苔の量産に向けた陸上養殖用大型水槽の開発

技 術 開 発
契 約 者
合同会社シーベジタブル
代表社員 蜂谷 潤
所 在 地
高知県安芸市
技   術
所 有 者
蜂谷 潤
技   術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 黒海苔は、日本の食文化を象徴する海藻であり、寿司やおにぎりといった加工食品の主要原料として広く用いられている。しかし、近年は気候変動に伴う海水温の上昇や貧栄養化等により、国内の黒海苔生産量は急減しており、価格は数年前に比べ二倍以上に高騰している(図1)。そこで陸上養殖による安定供給が喫緊の課題となっている。
 本技術は、黒海苔の陸上養殖に用いる大型水槽の開発である。これまでに、すじ青のりの陸上養殖に成功しており、そこで獲得したノウハウを生かし、黒海苔を生産する。具体的には、黒海苔(アマノリ)の種苗を育成し、それを増やして成長に合わせて大型の水槽に移し替えていく。十分に成長した海苔の苗は、本開発のレースウェイ型大型水槽に移し替え出荷段階まで育成する。レースウェイ型構造の水槽は、独自設計の底面構造等により、水槽内に均一で滑らかな水流を形成し、黒海苔の成長最適化による高い収穫量と品質の両立を実現する(図2)。
 陸上水槽は、水温や栄養、水流といった生育環境を管理する事が容易なため、色味・風味・厚みの揃った高品質な黒海苔を効率的に生産することが可能になる。特に、海苔の主力市場であるコンビニおにぎりや寿司など、用途に適した品質が確保できる点が特長である。天然黒海苔の供給が減少する中、陸上での安定的な生産を可能にするこの水槽は、価格の安定のみならず、日本の伝統的な海苔文化を次世代に繋ぎ、地域の水産業の持続可能な発展にも貢献する。

図

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