多くの物質は、波長3µm以上の赤外線帯域に、それぞれの物質に固有の吸収スペクトルを有する。本開発では、この物質の中・遠赤外線スペクトルを、2次元画像としてワンショットで計測し分析できる、頑健、高速な2次元FT-IR成分分析カメラと成分解析ソフトを開発する。計測で得られた2次元分光イメージのリアルタイム解析により、工場のガス漏れの監視、材料開発の現場における高速な成分分析や、生産ラインでの高精度な品質管理が可能となる。
従来のFT-IR光学系は除振構造を有する大きな可動機構を持ち、ポイント計測しかできず、FT-IR技術を高速な2次元成分分析カメラへと展開するためには、大きな障壁が存在した。Soilook社は、独自に発明した波面分割型共通光路分光方式(国際特許)によりこの障壁を克服し、過酷なプラントや工場製造ライン・材料開発現場におけるインフラ技術として使用できる本カメラの基本原理を試作機で実証済みである。この技術を基に、多成分同時判別が可能なガス監視カメラや、多数の材料の成分解析を一度にできる、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)研究向けの、ポータブルな成分分析カメラが実現する。
本技術開発の核となる2次元FT-IR成分分析カメラは、分光スペクトルによる2次元マッピング解析をリアルタイムで行うことができる。ガス検知・判別においては、アンモニア等のガス監視システムへの展開が見込まれ、信頼性の高い産業インフラ保安技術が期待できる。本カメラは、高速な材料組成の2次元マッピングを可能とし、我が国のMI材料探索研究の高速化に資するとともに、材料生産におけるインライン組成制御システムや品質管理など、我が国の素材産業分野においても広く応用できると期待される。
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