新技術開発助成

第87回新技術開発-03

低振動・高効率・低温物性測定装置用ヘリウム循環装置(HCS)の開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 新領域技術研究所
代表取締役   武田 栄吉
所 在 地
千葉県柏市
技   術
所 有 者
科学技術振興機構、東京大学
技   術
開 発 者
株式会社 新領域技術研究所
会 長   武田 常広

技術開発内容

 ヘリウムは、ほぼ100%アメリカから輸入しており、レアアース同様、限りある希少資源である。特に、液体ヘリウムは、低温を作る寒剤として用いられており、低温測定装置や医療機器のMRI、NMR、新しい鉄道であるリニアモーターカーなどに不可欠である。そのため、限りあるヘリウム資源をいかに効率よく再利用するかが求められている。
 本技術開発は、冷凍機を使った液体ヘリウムの再凝縮装置であり、液体ヘリウムを大気に放出することなく再凝縮して装置へ戻すことが可能である。ガス化したヘリウムを低温のまま再凝縮器へ導き、効率よく液化できる新設計を施し、従来の装置に比べ2倍以上効率が良くなった。さらに、振動やノイズを極力低減させ、測定装置に影響を与えない設計である。
 本装置の開発により、液体ヘリウムを補うことなく、低温磁気測定システム(MPMS)や物理特性測定システム(PPMS)などの低温測定装置を効率よく運転し続けることが可能となる。将来は、医療用MRIにもこの技術を発展させる予定である。液体ヘリウムは、他の元素で置き換えが難しいため、本技術開発は極めて公益性が高く、経済的にも波及効果は大きい。


図

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