デジタルカメラ、スマートフォンから最先端の計測器にいたるまで、さまざまな光学システムにおいて、高精度光学薄膜技術が必要とされている。特に、画像センシング技術は、市場の広がりに対応して、超高精度な薄膜技術が要求されている。
本技術開発は、これらの市場の要請に答えるべく、in situでの観測技術を導入し、高精度かつ高い歩留まりの薄膜製造装置を提供するものである。超高精度薄膜技術では、2nm程度で90%以上の透過率をもつバンドパスフィルターなどの製作が想定される(図1)。そのためには0.1%以下の精度の薄膜形成が必要である。本開発装置では、波長0.2nm以下の分解能をもつ小型エシェル分光器を導入し、薄膜製造装置内に光ファイバーとアームで計測装置を挿入し、特許技術である高精度のスペクトル分解光学計測を薄膜育成と同時に可能とする光学薄膜製造装置を開発するものである(図2)。
本開発装置により、これまで製造が難しく高価であった特殊光学薄膜が実現可能となる。さらに、その場観測により歩留まりが向上し、大幅なコストダウンがなされる。コスト、性能の両面から光学薄膜技術が向上することにより、それを利用した製品においても強い競争力を持つ製品開発が可能となり、我が国の世界市場における光学システムの競争力向上が期待される。高精度な光学薄膜装置、薄膜育成など、基礎的な技術において、我が国は、これまで海外技術に比べ優位性を発揮できなかった。本技術開発のように、基礎技術が国内で開発されることは、我が国の光学技術にとって重要な意義がある。
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