食品産業(製造、販売、外食等)全体からは莫大な量の食品残渣が排出されるが、排出事業者は中小企業も多く、十分に有効活用できていない。また食品残渣が腐敗しやすいことも、有効活用を妨げる大きな因子である。本技術はこのような食品残渣を乾燥粉末に加工することで、有効活用することを狙うものである。
従来このような高含水率の対象物の脱水、乾燥には、熱源を用いて乾燥したり、機械力で脱水する方法が用いられている。しかし、いずれも熱源の管理や装置の大型化の面から、中小事業者では採用が困難なものであった。本技術は、タンク内で高速回転する条件の異なる複数のブレードにより、対象物とブレード、および対象物同士の摩擦・衝突を制御しながら繰り返し、粉砕と乾燥を同時に行う方式である。これにより機械的エネルギーのみで、対象物を100℃まで昇温させるとともに粉末状に加工することが可能となり、高品質の乾燥粉末を得ることができる。原理実験の結果では、含水率80%近い「おから」や「トマト絞りかす」を数分で含水率10%以下の乾燥粉末に加工できることが確認されており、実用化の可能性は大きい。本技術開発では連続処理の可能な装置を試作し、対象物毎のブレードの最適条件、発生する蒸気の処理方法などを中心とした検討を行う。
本技術が実用化されれば、特に中小の事業者から排出される食品残渣を、排出元で乾燥粉末に加工することが可能となり、従来ゴミとして費用をかけて処分されていた貴重な資源(例えば、魚の残渣)を、食品加工材料や家畜の飼料など価値のある商品として再生させることが可能となる。
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