本開発は従来産業廃棄物として処理されていた、石炭火力発電所から排出される石炭焼却灰を活用した法面保護工法の技術開発を目指す。山間部等に設置される基幹送電線の鉄塔基礎部については、これまで自然に配慮した緑化工法が主として施工されてきており、集中豪雨等による雨水侵食のリスクにさらされてきた。本技術開発は、石炭焼却灰を利用した透水性・保水性・耐久性を兼ね備える法面加工により、送電鉄塔の倒壊など国民生活への甚大なリスクを未然に防ぐことを目的とする。
石炭焼却灰を利用した地表面保護工法としては、既に平地への施工実績のある『くりんかロード工法』を法面に適用し、法面の傾斜角、地盤土質等に適合する施工技術を開発する。『くりんかロード工法』は、従来のコンクリート、アスファルトに比較し、保水性、透水性に関して優れた特性を有し、法面の保護工法に関して優位性を持っている。
東日本大震災時に浮き彫りになった電力送電の多重化の重要性に鑑み、九州においても基幹送電線を多重化することが検討されており、今後400基から500基の鉄塔の建設が見込まれている。それらの鉄塔を自然災害から守るためにも、当技術を用いた法面保護加工技術の開発が期待される。
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