新技術開発助成

第94回新技術開発-01

水素燃料中のCOのリアルタイム連続監視装置の開発

技 術 開 発
契 約 者
矢部川電気工業株式会社
代表取締役 阪本 一平
所 在 地
福岡県大牟田市
技   術
所 有 者
上記技術開発契約者に同じ
技   術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

  固体高分子形燃料電池を用いた燃料電池車は、次世代の長距離移動用車両として期待されているが、化石燃料から製造される水素中に含まれうるCO等不純物ガスによる触媒の劣化が課題であり、被毒を抑制できる触媒の開発とともに、供給水素の純度管理手法の開発が進められている。後者に関してはISO/TS標準仕様書でCO濃度上限値として0.2ppmと定められている。本課題は、これを保障するための水素燃料中のCOのリアルタイム連続監視装置の開発に関わる。
  0.2ppmまでのCOの定量分析法としては、主にガスクロマトグラフ法が用いられてきているが、測定のリアルタイム性が悪い、測定に必要なガス量が大きい、装置が高価等という課題がある。提案者は、東京ガス、西部ガス及び九州大学によって発明された水素ポンプ型センサーにつき、発明者らと共同して水素燃料診断システム化するための基本構成の開発を行ってきた。同センサーは、燃料電池が被毒した際に発生電圧が低下する原理を応用したものであるが、正極・負極側の双方に水素ガスを供給し、極間に定電流を流した際に、電圧上昇として不純物の到達を検出するもので、燃料電池をそのままセンサーとして用いる際には水の生成により感度が不安定となる現象を抑制できる。これまで、水素の温度・湿度管理を行うことで、分解能10分以内のリアルタイム検出が、数か月以上にわたり可能であることを見出したが、使用可能温度域の拡大とセンサー等の信頼性強化・小型化が実用化への課題であることがわかった。本開発では水素ポンプ型センサーの安定製造法の開発、加湿装置や湿度センサーの改良を行い、更に標準COガスによる定期的な自動校正システムを組み込んだCO計測装置を開発して安定性やセンサー寿命を評価し、水素ステーションに設置し監視性能を実証することが目標である。
 開発に成功すれば、量産による低価格化が見込めることから、今後急速に整備が進む水素ステーションにおける実用的監視装置として普及が見込め、燃料の安定供給とコストダウンへ寄与することで、CO2排出量の削減に大きく貢献するとともに、更にエネルギー自給率の向上も期待される水素エネルギー社会の実現に資すると期待される。

図