新技術開発助成

第98回新技術開発-05

高圧管を用いたCNG・水素タンクの開発

技 術 開 発
契 約 者
株式会社 NBL研究所
代表取締役 西野 義則
所 在 地
大阪府泉南市
技   術
所 有 者
株式会社 NBL研究所
技   術
開 発 者
上記技術開発契約者に同じ

技術開発内容

 地球環境問題、大気環境問題、エネルギー問題の解決策として、液体燃料に代え、ガス燃料を用いる技術が脚光を浴びている。中でも水素ガス自動車は、乗用車ミライの量産販売開始以来、普及が進みつつある。ガス燃料の自動車への適用には、車載用、ステーションへの輸送用の高容量のタンクを、安全性高く、軽量に作る技術開発が不可欠である。申請者は、繊維強化プラスチックの円筒管を、独自開発した遠心成形法を用い製造する技術を有している。強化繊維を均一に積層することが可能となるため、繊維を外巻するのに比して2倍以上の強度を持つ管を、高い生産性で製造できる。申請者は、世界シェアの6割を占める耐圧油井管としてこの管を実用化しているが、エンドキャップを管の両端に設置することで、高圧ガスタンクとして活用することを着想し、これまでに、理論計算に基づく設計、それを実現する工法検討と、水素漏えいを抑制する樹脂の開発を行ってきた。
 本助成事業では、高圧のインジェクション成形により、FRPエンドキャップを試作する。この際、耐食金属製のプラグをインサートし、高圧シールを実現する。最適成形条件を探り、設計通りの耐圧性、断熱性、耐低温性が得られるか検証を行う。更に、樹脂タンク内に、耐食金属製の内挿瓶を入れる魔法瓶構造を実現することで、高圧ガスと液化ガスを同時に貯蔵することが期待されることから、この構造を試作して、タンクへの液体・高圧の天然ガス及び水素ガスの注入・排出が制御可能か実証する。
 魔法瓶構造を持つFRP製の液体・高圧併用のガスタンクを用いれば、従来の炭素繊維を外巻する構造の高圧タンクに比して、大容量の水素を車載・輸送可能になるばかりか、魔法瓶構造の隙間を、輸送時保冷時は真空として、消費時に大気を流すことで、気化エネルギーを抑制できるとともに、タンク内へのガス充填において高圧注入に必要なエネルギーおよび設備を省くことができる。天然ガス車の車載タンクについて低コストで安全性の高いタンクとしての実用化がまず早期に期待でき、実績が得られれば更に、水素用としての車載用あるいはタンクローリー輸送用としての適用が期待される。普及が進めば、水素エネルギー社会の実現の加速に大きく寄与する。

図

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