革新的なCO2濃縮・供給技術で農業の高収益化を可能に!
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独自のハニカム技術を農業分野へ応用 |
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| ■施設園芸が直面するCO2の供給問題 | |
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西部技研の隈社長は、創業者で実父の「独自の発想と技術で物真似でない製品を生み出し、社会に貢献したい」という情熱が、いまも社風として受け継がれている、と語る。その独自技術の新たな社会応用分野として見出したのが、農業だった。施設園芸では、光合成量の最大化が作物の収穫量と品質を左右するキーだ。しかし、密閉度の高いハウス栽培では、日中、植物がCO2を急速に消費、室内のCO2濃度が低下して光合成が抑制される。このCO2不足を補うため、一般的に農家では灯油やプロパンガスの燃焼手法が用いられてきた。だが、燃焼ガスは高温のため、気温が高い夏場や日中はハウス内を高温にし過ぎないため、時々、換気せざるを得ず、CO2が低減してしまう。また、燃焼ガスに含まれる有害物質が作物や作業者に与える影響も多く、新たな手段が求められてきた。 |
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| ■コア技術をCO2の濃縮・供給装置に応用 | |
こうしたCO2供給技術の課題やニーズを知り、西部技研が開発した「C-SAVE Green®」は、大気中からCO2を濃縮し供給するシステムで、心臓部には同社のハニカムロータが搭載されている。このロータは、三角形状のシートを緻密に巻き上げた形状で、「ハニカムセル」と呼ぶ微細な隙間の多層構造になっている。大気がロータを通る際、セルに塗布された独自開発の吸着材がCO2のみを瞬時に捉え、ロータは回転して加熱ゾーンに進み、濃縮されたCO2を脱着・放出する。この吸着材は、低温下で吸着が促進、高温下では脱着が進む物性をもつ。ロータが一定速度で回転し続け、吸着・脱着を連続的に繰り返すことで、室温を上げ過ぎずに、ハウス内のCO2を植物成長の最適濃度まで安全に高めることに成功した。農業分野への参入は初の試みだったが、同社が長年培ってきた空調・除湿やハニカムロータ技術の応用が、優れた性能に結実した。
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ヒートポンプ技術の導入が突破口に |
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| ■新たな吸着材開発と低温脱着の実現 | ||
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この開発の最大の障壁は、吸着材の選定だった。大気中からCO2を選択的に、かつ低エネルギーで吸着できる物質は極めて限定的だ。まず、市販品を徹底的に調査したが、農業用として求められる耐久性とコストで、かつ「低い温度でも脱着できる」ものは存在しなかった。そこで、開発陣は社内の素材分析リソースを結集し、一から吸着材の組成を設計。試行錯誤の末、わずか40℃程度で効率的にCO2を脱着する独自の吸着材を完成させた。これにより、装置の消費電力は大きく抑えられ、また、現場の多様なニーズに合わせたカスタマイズも可能になった。 |
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| ■ヒートポンプ技術で通年運用の確立 | ||
次の課題は、夏季の性能低下で、吸着材の特性上、高気温では吸着効率が低下してしまう。そこで、吸着側と脱着側の熱量バランスを制御できる「ヒートポンプ技術」を組み合わせた。外付けのヒートポンプユニットで、外気を冷却し吸着効率を最大化させ、同時に加温側にも使えるため、従来のヒータの消費電力を抑えることもできた。結果、省エネながら通年で、イチゴ、トマトやナス、キュウリなど幅広い作物への適用を実現した。
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脱炭素社会の実現とグローバル展開 |
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| ■ランニングコスト削減と収穫量増大の両立 | |
「C-SAVE Green®」の導入は、施設園芸農家が長年抱えてきた課題を解消、様々な恩恵をもたらす。一つは、燃焼式CO2供給手法に比べて低ランニングコストであること。従来、燃焼式では、1ハウスあたり1シーズンに約15万円の燃料代がかかっていたが、本装置は電気代のみのため、光熱費を抑えることができる。また、福岡県農林業総合試験場との共同試験では、本装置の導入で収穫量が20%以上も増加するデータを得た。加えて、「C-SAVE Green®」は大気中のCO2を直接吸収し作物として固定するため、施設園芸栽培の際、大気へ放出されていたCO2を大幅に削減でき、温室効果ガス低減にも期待ができる。
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| ■農業の可能性を広げ、新事業の柱へ | |
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「C-SAVE Green®」は、環境配慮の技術が評価され、2025年に発明大賞「東京都知事賞」を受賞。現在は、脱炭素経営やSDGsへの貢献を重視する研究機関や大手農業法人を中心に、九州から全国へと着実に販路を広げている。さらに、施設園芸の先進国であるオランダの大学でも実証試験が開始されており、同社の技術が世界へ向けて展開できる日も近い。今後の目標は、より省エネで環境に優しいハニカムロータの開発と、農業関連事業を新たな柱として確立することだ。 「農家の方々が最も重視されるのは、投資対効果と運用の簡便さです。私たちは今後、JAや各地の農業普及センターとの連携を一層強化し、機能を必要最小限に絞ったモデルや、食品以外の花き栽培への応用可能性も探ります。将来的には、より多くの農家に普及を促進、海外市場への展開もできればと考えます」と、開発陣は将来展望を語った。 |
(取材日 令和7年12月11日 福岡県古賀市・(株)西部技研)
(株) 西部技研 プロフィール 1965年、創業者・隈利實(現社長の実父)が「独自の発想と技術で物真似でない製品を生み出し、社会に貢献したい」との思いで大学発ベンチャー企業として設立。独自のハニカムロータ技術を核に、空気環境制御の分野でグローバルに事業を展開。世界トップクラスのシェアを誇るデシカント除湿機やVOC(揮発性有機化合物)濃縮装置を主力製品とし、2023年には東京証券取引所スタンダード市場へ上場。従業員数392名(連結、2024年12月末時点)。 |














