地球環境研究助成

地球環境研究助成05-01

再生可能エネルギーによる水素とナノ金属薄膜を用いた革新的エネルギー生成法に関する研究

代表研究者
東北大学 先端量子ビーム科学研究センター・特任教授
岩村 康弘

研究目的

 化学反応に比べ桁違いに大きい熱エネルギーを発生し、人体に有害なレベルの放射線を放出しない量子水素エネルギー(QHE)が世界中で注目を集めている。我々は、ナノ構造薄膜に水素を吸蔵させ急加熱することで異常発熱を起こす方法を考案・特許化したが、本研究においては、発熱密度・継続時間の長い新規反応手法に関する研究を行い、太陽光や風力などの再生可能エネルギーにより得た水素を燃料とし、発電や熱供給を行うエネルギー発生装置の実現の可能性を探った。

研究方法

図  右図のように水素を常に供給・拡散させ、発熱反応を連続的に起こす連続透過発熱方式を用いて実験を行った。具体的にはナノ構造薄膜組成・構造を変化させることにより、発熱量の増大を試みた。また、長時間発熱が可能かを検証し、2週間程度の発熱実験を実施した。さらに、供給水素圧と発熱量との関係や、実用性を考慮して真空ポンプが省略できるかどうかの検証実験を実施した。

研究成果

 本研究で得られた主な成果は以下である。
1. 連続透過発熱方式により、従来型の吸蔵加熱発熱方式の約20倍の発熱密度を達成した。
2. 発熱の継続性については、2週間で発熱減少10%以下の結果が得られ、長時間連続発熱への見通しを得た。
3. 水素圧力が増大すると発熱量が増大することが判明した。これは今後実用化にとって有利と思われる。
4. Arガスによって真空ポンプ代替が可能なことを示した。

まとめ

 以上のように量子水素エネルギー(QHE)の新規手法である連続透過発熱方式に関する研究を実施し、本発熱手法が従来型に比べて、高い発熱密度と長時間連測発熱性能があることを実証した。水素圧力の増加による発熱増加や真空ポンプの代わりにArガスでも代替が可能であることも示され、実用化の可能性を示した。

地球温暖化対策への貢献

 太陽光や風力などの再生可能エネルギーにより得た水素を燃料とし、発電や熱供給を行うエネルギー源の実現に関する基礎研究で地球温暖化対策へ貢献した。

主な成果発表

(1) Y. Iwamura et.al, Jpn. J. Appl. Phys. 63 (2024) 037001.
(2) 岩村他、プラズマ・核融合学会誌小特集「凝縮金属系中の水素拡散による異常発熱」
2025年8月号