地球環境研究助成

地球環境研究助成02-01

超低過電圧酸素発生アノードを基盤とした高効率太陽光水素生成システムの開発

代表研究者
新潟大学 自然科学系・教授
八木 政行

研究の背景・目的

 今日の社会システムは、化石燃料を中心としたエネルギー供給を基盤としているため、必然的に二酸化炭素(CO2)の排出を伴う。持続可能な未来社会を実現するためには、再生可能エネルギーを利用したCO2フリー高効率水素製造技術を基盤としたエネルギー供給システムの構築が重要である。本研究では、世界最高効率の水電解システムを開発すると共に、これと太陽電池を用いた太陽光水素生成システムを構築して、世界最高の太陽光水素生成変換効率を達成し、脱炭素社会の実現への足掛かりを得る。

研究内容・課題

 申請者が合成した、高活性なFeNiW酸化物触媒およびニッケル硫化物/炭素材料複合触媒を基盤として、世界最高効率の水電解システムを開発すると共に、これと太陽電池を組み合わせた太陽光水素生成システムを構築して、世界最高の太陽光水素生成変換効率を達成する。
<研究課題>
 (1) 酸素発生アノードの高性能化
 (2) 高活性卑金属水素発生カソードの開発
 (3) 太陽電池と水電解セルを用いた高効率太陽光水素生成システムの構築

課題解決の研究手法

(1) ニッケル硫化物/炭素材料複合触媒が超低過電圧を有することを鑑み、様々な混合金属硫化物を合成して、極めて高活性な酸素発生アノードを開拓する。
(2) 多種混合金属硫化物および窒化物に加え、リン化物およびセレン化物を合成し、未知の高活性卑金属水素発生カソードを創製する。
(3) 本研究で開発する水電解システムのηcell10は130mV以下になる利点を生かして、2接合太陽電池を用いた世界最高効率の太陽光水素生成システムを構築する。

期待される研究成果

(1) 世界最高効率の水電解システムを創生できる。これは、夜間の余剰電力を用いた水素製造にも応用できる。
(2) 世界最高効率の太陽光水素生成システムの実現が期待される。本研究成果により、太陽光を利用したCO2フリー高効率水素生成システムが創生され、脱炭素社会の実現への足掛かりが得られる。