市村学術賞

第49回 市村学術賞 功績賞 -01

立体テレビ応用に向けた電子ホログラフィ用空間光変調器

技術研究者 日本放送協会 放送技術研究所 立体映像研究部
上級研究員 町田 賢司
技術研究者 同協会 同研究所 同部
船橋 信彦
技術研究者 同協会 同研究所 同部
金城 秀和
推  薦 日本放送協会

研究業績の概要

 電子ホログラフィは、空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)を用いて動画立体像を表示する技術であり、将来の立体映像表示システムとして期待されている。近年、液晶等を用いたSLMにより、電子ホログラフィ研究が活発に展開されている。しかし、現在のSLMでは、解像度が著しく低く理想的な立体像再生が困難な状況となっている。
 受賞者らは、スピン注入磁化反転と磁気光学効果を組み合わせることで、可視光の波長程度に微細なトンネル磁気抵抗素子により、光を変調する新奇デバイス "スピンSLM" を開発した。スピンSLMは、画素選択トランジスタを介して素子に流すパルス電流により、光変調層の磁化の向きを制御する。反射光の偏光面が、磁化の向きに応じて回転するため、光を変調することが可能となる。超高密度・多画素化に向け、素子の低電流化技術を確立し、アクティブマトリクス(AM)駆動方式のシリコンバックプレーンを用いて基本動作を検証した。この技術により、2次元アレイ構造のSLMでは世界最小となる画素ピッチ2μm(100×100画素)のAM駆動スピンSLMを開発し、2次元画像の表示に成功した。また、スピンSLMによる立体ホログラフィの原理検証を行うため、画素ピッチ1μm、画素数20K×20Kの磁性ホログラムを作製し、立体像の広視域再生を実証するなど、動画ホログラフィに必要な基盤技術を開発した。
 本開発によるデバイス基盤技術は、視域角の拡大という動画ホログラフィの重要課題を改善する大きな一歩であり、今後の立体映像表示に向けた研究開発の飛躍が期待される。

図

図2