新技術開発助成

第109回新技術開発-04

下肢麻痺者の起立リハビリテーション機器の実用化開発

技 術 開 発
契 約 者
Qolo 株式会社
代表取締役 江口 洋丞
所 在 地
茨城県つくば市
技   術
所 有 者
国立大学法人 筑波大学
技   術
開 発 者
Qolo 株式会社
取締役 佐々木 海

技術開発内容

 脳卒中患者(日本国内約112万人)などが歩く能力を再獲得するために、その前段階として起立リハビリテーションが必須である。重症患者の起立リハビリには、体重を安全に支えるために2人以上の介助者が必要となることが多く、コストや手間がかかることから十分な実施回数が上がっていないのが実情である。
 本技術ではこれを解決するために、圧縮バネを備えた機構によって随意的な立ち上がり動作を支援する装置を開発してきた(図1)。モーターなどを一切使わない点に特徴があり、訓練者が立ち上がろうとして重心を前に移動させると、圧縮バネが作動して座面を押し上げる機構となっている(図2)。座る場合は、重心を後ろに動かすと訓練者の自重が圧縮バネ由来の支持力に勝り、座ることができる。訓練者自身の立ち上がる・座る意志に応じて支援する機械機構により効果的な訓練が実現できる。大学病院との連携で動作検証済みである。医療機関と実用性評価と試作を行った結果、①訓練者の多様な症状に対応するための機械調整機能のユーザビリティ向上、 ②誤使用・誤操作の防止、③可動部の安全性確保、④製品コスト削減、⑤訓練効果の評価ソフトウェア開発が新たに必要であることが分かった。本開発では、これらの5つの項目について具体的な達成目標を設定し、実際に試作機を複数の医療機関で稼働させて開発を進める。
 汎用部品の使用などによるコスト削減を見込む。介助者の身体負担が減ることから起立リハビリの訓練回数が増え、早期の回復効果を期待できるほか、追加受け入れ可能な患者診療分でレンタルコストを賄えることを想定している。当該装置は簡便に運搬可能であり、施設内を移動して複数の訓練者が共有することも可能であるため、装置の稼働率を高くできると考えている。加えて、評価ソフトウェアで訓練効果を可視化、記録できるようになる。

図

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